Wikipediaでは「高岳親王」と表記されている平安時代の皇族・僧侶の、天竺(インド)を目指して東南アジアへ至った航海記。
…だと思って読もうとしたのだが、例によって巻末の「解説」から読み始めたところ、微妙に違う。どうやら実在の人物を主人公とした、壮大なフィクションのようだ。
読み始めれば確かに、これを本物の航海記と思う人は居ないであろう。お伽噺的なシリーズ短編が続き、舞台が日本から次第に東南アジアへ向かってゆく。最初こそリアリティがあるが、次第に夢か現かといったテイストに変わってくる。始めに解説を読んでいなかったとしても、読者はいつしかこれが記録モノとは思わなくなるだろう。
解説者は著者の熱狂的なファンであり、この作品を激賞しているのだが、果たしてそうか。確かに、現実っぽい書き出しから章を追うごとにファンタジーへと転換してゆく構成は面白いし、書かれている内容にも惹かれる部分はある。だけど、読後に残るのは大きな爽快感でも深い感銘でもない。もちろん後味が悪いということもないのだけど。
要は、私ってファンタジーが好きじゃないんです。
2014年2月某日 自宅にて読了
…だと思って読もうとしたのだが、例によって巻末の「解説」から読み始めたところ、微妙に違う。どうやら実在の人物を主人公とした、壮大なフィクションのようだ。
読み始めれば確かに、これを本物の航海記と思う人は居ないであろう。お伽噺的なシリーズ短編が続き、舞台が日本から次第に東南アジアへ向かってゆく。最初こそリアリティがあるが、次第に夢か現かといったテイストに変わってくる。始めに解説を読んでいなかったとしても、読者はいつしかこれが記録モノとは思わなくなるだろう。
解説者は著者の熱狂的なファンであり、この作品を激賞しているのだが、果たしてそうか。確かに、現実っぽい書き出しから章を追うごとにファンタジーへと転換してゆく構成は面白いし、書かれている内容にも惹かれる部分はある。だけど、読後に残るのは大きな爽快感でも深い感銘でもない。もちろん後味が悪いということもないのだけど。
要は、私ってファンタジーが好きじゃないんです。
2014年2月某日 自宅にて読了