どこかで紹介されていた本で、夏の間に読もうと思っていたのだが借りるのが遅くなって9月になっちゃった…暑いからまあ良いか。やはりタイトルに季節が入っているものは、その時期に読んだ方が良い気がするとです。
場所は中部太平洋、マーシャル諸島のクワゼリン環礁(昨年通った)から数百キロの小さな環礁(こちらは架空の地名)。マグロ漁船に乗り込み取材していた地方紙記者の主人公はあろうことか夜間に落水。幸い小さな島に泳ぎ着き、そこで自給自足の生活を始める。移り住んだ近くのより大きな島には人の痕跡があり、しばらくしてやってきたのはアメリカの有名映画俳優だった…
最初に帰国できるチャンスを放棄し、同じ島の「隣人」となった俳優とも最小限の付き合いに留める主人公「ヤシ」はとても内省的に見える。夢か現か島にいる「精霊」の声を聞き、かつていた住民達の原始的な営みを感じつつも最終的には島を出て人間社会に還ってゆく。
主人公が内省的なのは、先天的なものか遭難という後天的環境によるものか。なんで最初の機会に救助されることを願わなかった。なんで後には社会に戻る選択をした。文章は抑制的に淡々と書かれ、読者にシーンを想像し我が身に置き換えてみることを要求しているようだ。30年も前に書かれた、最近はコラム等でも見かける著者の長篇デビュー作は今を髣髴とさせる思慮深さを伝えていた。
2018年9月8日 ハイキング帰りの電車にて読了
場所は中部太平洋、マーシャル諸島のクワゼリン環礁(昨年通った)から数百キロの小さな環礁(こちらは架空の地名)。マグロ漁船に乗り込み取材していた地方紙記者の主人公はあろうことか夜間に落水。幸い小さな島に泳ぎ着き、そこで自給自足の生活を始める。移り住んだ近くのより大きな島には人の痕跡があり、しばらくしてやってきたのはアメリカの有名映画俳優だった…
最初に帰国できるチャンスを放棄し、同じ島の「隣人」となった俳優とも最小限の付き合いに留める主人公「ヤシ」はとても内省的に見える。夢か現か島にいる「精霊」の声を聞き、かつていた住民達の原始的な営みを感じつつも最終的には島を出て人間社会に還ってゆく。
主人公が内省的なのは、先天的なものか遭難という後天的環境によるものか。なんで最初の機会に救助されることを願わなかった。なんで後には社会に戻る選択をした。文章は抑制的に淡々と書かれ、読者にシーンを想像し我が身に置き換えてみることを要求しているようだ。30年も前に書かれた、最近はコラム等でも見かける著者の長篇デビュー作は今を髣髴とさせる思慮深さを伝えていた。
2018年9月8日 ハイキング帰りの電車にて読了