どれだけ造船や航海術が進歩しても、海洋遭難がゼロになったわけではない。これまでに難破の記録、漂流の記録はいくつも出され読んできた。遭難者が10人いれば遭難中の行動は10ある。だから何作でも読む。
本書は、長崎の漁師が自分の漁船のエンジン故障から漂流し、37日後に黒潮に乗って日本から遠く東の海上へ流された武智三繁さんへのインタビューを再構成したもの。漁師の倣いで少しではあるが水や食糧を積んでいたとは言え、一ヶ月以上は長い。救命筏でなく横になって眠るスペースのある漁船だったことが体力消耗のペースを落としたのだろう。助かって良かった。
たいへんな「事件」だったのに、遭難最中の様子を述べる武智さんに気負った様子や悲壮感が伺えないのが印象的。救助後の記者会見でも割と淡々としていたそうだ。遭難時点から既に悟りを開いていたかのような。
本書の感想はそこまでで良いが、武智さんのその後についてネットに情報が上がっていた。全国各地を講演で回る過程で、講演前の緊張を紛らわすため飲み始めた酒が過ぎて依存症となり、その後は生活保護で暮らしているのだと。遭難さえしなければ小さな漁村で淡々とした人生を送っていたのだろうが。それでも、陸に戻って来られて良かったのではないのだろうか。
2019年2月19日 通勤電車にて読了
本書は、長崎の漁師が自分の漁船のエンジン故障から漂流し、37日後に黒潮に乗って日本から遠く東の海上へ流された武智三繁さんへのインタビューを再構成したもの。漁師の倣いで少しではあるが水や食糧を積んでいたとは言え、一ヶ月以上は長い。救命筏でなく横になって眠るスペースのある漁船だったことが体力消耗のペースを落としたのだろう。助かって良かった。
たいへんな「事件」だったのに、遭難最中の様子を述べる武智さんに気負った様子や悲壮感が伺えないのが印象的。救助後の記者会見でも割と淡々としていたそうだ。遭難時点から既に悟りを開いていたかのような。
本書の感想はそこまでで良いが、武智さんのその後についてネットに情報が上がっていた。全国各地を講演で回る過程で、講演前の緊張を紛らわすため飲み始めた酒が過ぎて依存症となり、その後は生活保護で暮らしているのだと。遭難さえしなければ小さな漁村で淡々とした人生を送っていたのだろうが。それでも、陸に戻って来られて良かったのではないのだろうか。
2019年2月19日 通勤電車にて読了