社会的弱者と言えばかつては障碍者か高齢者くらいの認識だったが、最近は性差世代を問わず対象が増え、さらにはその人口比も増えていることは間違いないと感じている。そして「強者」と「弱者」の格差が拡大し世の中が二極化の方向にあることも、多分まちがいないだろう。
弱者が増え二極化が進行するメカニズムは、他書でより詳しい解説がある。本書は幾つもの事例を引用しながらも解説は概略的であり、少し知識のある読者にとっては物足りなさを感じる。一方で、大きな流れや取り組みについて判り易く書かれているとも思う。本書で、インクルージョン(包摂)とエクスクルージョン(疎外)と言う対の言葉を理解できた気がする。
社会的弱者が増え二極化が先鋭化した社会は、治安が悪化し心安らかに過ごせないと言う著者の主張は、統計で示している通りたぶん正しいのだろう。問題はその先で、弱者を弱者でなくすための施策、二極化を穏やかな格差に縮小する施策、それらの実現に必要な国民間の意識共有、価値観の醸成をどうやって行うか、必要性を訴えるとこまではできていても本書で具体策は打ち出せていない。例えば富裕層への課税強化か、それを嫌ってマネーロンダリングしたり国外移住したりすることへの対策は。失業者救済のためワークシェアリングすることによる減収者への補填は。100%の人が幸福になるのは無理として、何%を目的とするのか。考えてゆけばキリがない。
2021年12月4日 ライブ帰りの電車にて読了
弱者が増え二極化が進行するメカニズムは、他書でより詳しい解説がある。本書は幾つもの事例を引用しながらも解説は概略的であり、少し知識のある読者にとっては物足りなさを感じる。一方で、大きな流れや取り組みについて判り易く書かれているとも思う。本書で、インクルージョン(包摂)とエクスクルージョン(疎外)と言う対の言葉を理解できた気がする。
社会的弱者が増え二極化が先鋭化した社会は、治安が悪化し心安らかに過ごせないと言う著者の主張は、統計で示している通りたぶん正しいのだろう。問題はその先で、弱者を弱者でなくすための施策、二極化を穏やかな格差に縮小する施策、それらの実現に必要な国民間の意識共有、価値観の醸成をどうやって行うか、必要性を訴えるとこまではできていても本書で具体策は打ち出せていない。例えば富裕層への課税強化か、それを嫌ってマネーロンダリングしたり国外移住したりすることへの対策は。失業者救済のためワークシェアリングすることによる減収者への補填は。100%の人が幸福になるのは無理として、何%を目的とするのか。考えてゆけばキリがない。
2021年12月4日 ライブ帰りの電車にて読了