
「介護はしないぞ 私と母の1000日戦争」井上雅義
避けて通れない問題・・・それが親の介護。
著者は、修業時代からビートたけしの友人にして、
現在も「週刊ポスト」で「ビートたけしの21世紀毒談」の更正をつとめている著述家。
P253
介護を経験した人なら誰しもが、最期まで親にどう生きてもらうことができるか、介護を抱える自分もどう生きていくか悩むが、介護者が悩むだけでは解決しないのが老人介護の厄介なところなのだ。そしてまた、医療とちがい、完全に快癒して、めでたしめでたしと終わりにならないのが老人介護であり、悲しいことに介護が終わるときは被介護者が死ぬときという運命にある。アルツハイマー型認知症は、2012年で462万人。
男性より女性が1.5倍の罹患率、と言われる。
症状の概要は・・・
①日にち、時間、食事等、物忘れ・・・・・「記憶障害」
②火の取り扱い、腐り物の判断が出来ない・・・「判断力障害」
③ゴミの片付け、掃除、買い物が出来なくなる・・・「実行機能障害」
④場所や道迷いがおこる・・・「見当障害」
⑤言葉がスムーズに出ない・・・「失語」
⑥家族の認知が出来ない・・・「失認」
⑦ふだん使っている歯ブラシなどの道具の使い方がわからなくなる・・・「失行」
⑧妄想、幻覚、過食、異食、徘徊、暴力、尿失禁、弄便・・・「末期症状」
初期は、まだら状ぼけで、本人の自覚がなく、自分を認知症と認めようとしないこと。
現在年寄りの方は、戦争や、物のない時代を経験して苦労している。
その分、負けず嫌いで、プライドも高く、人の世話になろうとしない。(自分の息子や娘の言うことを聞こうとしない)
いかに折り合いをつけて、ある程度納得して貰い、公共のサービスを利用するか。
・・・とても、難しい問題である。
【おおよその段取】(都道府県、市町村で微妙に異なるかも?)
①市役所の介護部門と相談する(見取図を描く)
②病院にかかって主治医を持つ(薬をもらい、現状と今後を判断して貰う)
③調査員の方の訪問を受けて介護レベルを判定してもらう(神経科主治医の判断も必要)
④各市町村相談窓口等で、ケアマネージャーを決めてもらう。
⑤ケアマネージャーと相談して、ケアプランを立てる。(体験サービスで雰囲気を知る)
⑥具体的サービス・・・リハビリ、デイサービス、ショートステイ等のサービスを受ける。
⑦最期は老人ホームのような施設に入居となるが、ピンからキリまであって、お金と相談。
*さらに、もっともハードルが高いのが、「本人が納得して入居するか?」、ってこと。
【おまけ】
認知症をパソコンに例えるなら、記憶障害はRAM(random access memory)が失われること。
やがて、表計算や文章作成といったアプリケーションソフトもエラー激発、使用不能。
最期はOS、ハードディスクも不具合が出て、キーボード、タッチパネルも誤作動、
基盤を交換することも出来ない状態。
・・・パソコンなら買い換えてバージョンアップするけど。
(車なら10万キロ以上走ったらオーバーホールか、燃費の良い新車購入)
・・・読んでいて、様々な思いが交錯した。
心を乱さず、客観的な判断力で、ひとつずつ処理していきたい。(無理)
【おおよその段取】の①~⑥までは、悪戦苦闘、藪漕ぎ状態。
(本人の思いはともかく)⑦になったら、やっと一息つけるかも。(その時は、家族の体力、精神力、経済力も低下して疲労困憊している)
【ネット上の紹介】
七転八倒介護ノンフィクション ハラハラして、ためになる介護ノンフィクション。認知症初期の母親と、その息子が直面した1000日におよぶ介護の現場を、リアルに、そしてどこか滑稽に描き出す。母の様子がおかしいと気づいてから、身の回りの世話をし始めるものの、長年のコミュニケーション不足がたたり、口論も絶えず、次々に起こる現実的な困難に対処できない。孤立していく親を、自分だけでなく妻や近所の人を巻き込みながらケアしていくなかで、漠然としていた親との関係を深く考えることになる。【編集者からのおすすめ情報】 読み物として面白いことはもちろん、実用的な情報も充実しています。