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「砂の剣」比嘉慂

2012年09月04日 22時28分01秒 | 読書(沖縄・八重山)

「砂の剣」比嘉慂

初期作品集。
次の7編が収録されている。

▼第1話/砂の剣
▼第2話/砂の落日
▼第3話/母について
▼第4話/砂の呼声
▼第5話/砂の兵士
▼第6話/学舎
▼第7話/喜劇土掘り

初期作品集であるが、すでに完成度は高い。
どれも佳作ばかり。
戦争がテーマで、戦時中の沖縄が舞台。
・・・と言っても、暗いだけの作品じゃない。
淡々と現実が描写され、ユーモアさえ感じられる。
戦争を題材にして、沖縄、文化、歴史が描かれる。
深く、濃い作品である。

【ネット上の紹介】
●あらすじ/太平洋戦争末期、沖縄の離島、前島に日本国軍の小隊がやってきた。名目は防衛。が、日本兵達は、水源である森の木を切り倒したり、爆弾を使って海の魚を獲ったりして、島を破壊していく。それだけでなく、軍隊がいるということは、敵軍の攻撃目標になるということも意味していた……(第1話)。
▼日本の敗戦で幕を閉じた太平洋戦争。沖縄の山を守る日本軍“山の部隊”は降伏を拒否し、敵前逃亡をした日本兵を殺したりと、身内である日本人に当たっていた。「生き残るために戦う」を信条にしていた湧川村長が、山の部隊の説得に行くが……(第2話)。
▼乳飲み子と、子供3人をかかえ、防空壕から墓の穴まで、戦火から逃げ続けた一人の母親の物語。命懸けで子供達を守ったこの母こそ、作者比嘉慂の実の母親である(第3話)。
●その他の登場キャラクター/海里分校長