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「ニッチを探して」島田雅彦

2013年12月06日 23時56分04秒 | 読書(小説/日本)

「ニッチを探して」島田雅彦

妻と大学生の娘を残して銀行員が失踪する。
普通のサラリーマンがホームレスに。
都会を舞台にしたサバイバルストーリー。

例えば主人公・藤原はゲームセンターを訪問する。
両替機やマシーンの下にカネが落ちてないか調べていると、
UFOキャッチャーで、青年二人の会話が聞こえてくる。

P127
――じゃあ、「みくる」を売り払って、焼き肉食おう。
――食えねえって。売ったって二千円にしかなんねえもん。
(中略)
このフィギアを「まんだらけ」に持っていくと、二千円で買い取ってくれる!

こんな感じで、都会でのサバイバルが描かれる。
ホームレス関連の雑学も身につく。
P199
上野公園、隅田公園、新宿中央公園が三大聖地だね。渋谷の宮下公園もそうだったが、整備を理由に排除されてしまったね。
――なぜ、そういう公園に集まってくるんでしょうか?
――炊き出しが頻繁に行われるからだよ。

最後は、銀行支店長と融資先・中国人組織との闘いになる。
サバイバル蘊蓄から一変して、サスペンス風に急展開。
先が読めずに、ハラハラする。

PS
中国残留孤児、ニセ孤児移民、二世、三世による犯罪組織“ドラゴン”についても触れられている。(P287)
怒羅権 - Wikipedia


PS2
サバイバル部分だけなら、「失踪日記」を読んだ方がいいような気がする。(よけいなお世話だけど)
 
立ち読み

【ネット上の紹介】
背任の容疑をかけられ、妻と娘を残し失踪した元銀行員の冒険。飢えに耐え、星を見ながら、草の上で眠り、雨に濡れ、虫に刺されながら、死者と対話したり、神に祈ったりし、なまった筋肉に鞭打ち、鈍った勘を研ぎ澄まし、わずかばかりの食料を調達してくる。所持金ゼロでも暮らせるニッチは何処にある?