
「ニッチを探して」島田雅彦
妻と大学生の娘を残して銀行員が失踪する。
普通のサラリーマンがホームレスに。
都会を舞台にしたサバイバルストーリー。
例えば主人公・藤原はゲームセンターを訪問する。
両替機やマシーンの下にカネが落ちてないか調べていると、
UFOキャッチャーで、青年二人の会話が聞こえてくる。
P127
――じゃあ、「みくる」を売り払って、焼き肉食おう。
――食えねえって。売ったって二千円にしかなんねえもん。
(中略)
このフィギアを「まんだらけ」に持っていくと、二千円で買い取ってくれる!
こんな感じで、都会でのサバイバルが描かれる。
ホームレス関連の雑学も身につく。
P199
上野公園、隅田公園、新宿中央公園が三大聖地だね。渋谷の宮下公園もそうだったが、整備を理由に排除されてしまったね。
――なぜ、そういう公園に集まってくるんでしょうか?
――炊き出しが頻繁に行われるからだよ。
最後は、銀行支店長と融資先・中国人組織との闘いになる。
サバイバル蘊蓄から一変して、サスペンス風に急展開。
先が読めずに、ハラハラする。
PS
中国残留孤児、ニセ孤児移民、二世、三世による犯罪組織“ドラゴン”についても触れられている。(P287)
→怒羅権 - Wikipedia
PS2
サバイバル部分だけなら、「失踪日記」を読んだ方がいいような気がする。(よけいなお世話だけど)
