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「コンニャク屋漂流記」星野博美

2015年03月25日 23時01分10秒 | 読書(ノンフィクション)


「コンニャク屋漂流記」星野博美

「転がる香港に苔は生えない」と並ぶ、もう一つの代表作。
星野博美さんと言えば、香港や中国を旅して、ルポを書かれるイメージがある。
本作は、旅は旅でも、自分のルーツを探る旅。

P311
イワシとコンニャク。漢字で書けば、鰯と蒟蒻。どちらも「弱」という字を当てられている。広辞苑によれば、イワシは「弱シ」の転用だとか。これは弱いという意味よりも、高級でない、とるに足らない、庶民の口に入る、といったニュアンスが強い、一種の蔑視だろう。
海の弱者と陸の弱者。ついでに言えば、祖父と父が従事していたのは零細町工場で、いわば製造業の弱者。ここまで「弱」が三拍子揃うと、「上等じゃないか」と誰かにケンカを売りたくなるような気分になった。

【おまけ】
この作品を著していて、終わり頃に車の免許を取られたようだ。 
だから、終わり頃になると、車を自分で運転して千葉に行っておられる。
実家の戸越にも戻られている。
前後の経緯が分かってよかった。

【ネット上の紹介】
先祖は江戸時代、紀州から房総半島へ渡った漁師で、屋号はなぜか「コンニャク屋」!?祖父が遺した手記を手がかりに、東京・五反田から千葉、そして和歌山へ―時空を越えたルーツ探しの珍道中が始まる。笑いと涙の中に、家族や血族の意味を問い直す感動のノンフィクション。読売文学賞、いける本大賞受賞作。
[目次]
第1章 コンニャク屋の人々
第2章 五反田
第3章 御宿・岩和田
第4章 東へ
第5章 紀州
第6章 末裔たち