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「号泣」松田志乃ぶ

2015年04月08日 21時56分49秒 | 読書(小説/日本)

集英社オレンジ文庫<br> 号泣
「号泣」松田志乃ぶ

体裁はライトノベルだけど、内容は暗く重い。
高校を舞台にしたミステリ。
多数の登場人物が(比喩としての)毒針を持っており、
お互い満身創痍の学園生活が描かれる。

真梨幸子作品のように、もろ性格の悪い人物が登場する訳じゃない。
普通の女子高生が登場する。
ところが、お互いの相性によって最悪になる。
悪意マックスとなる。
そこに至る過程と状況を描くのが巧い。

P108
「(前略)日本の女子高生の性病罹患率って世界一なんだぜ」
(中略)
「淋病、梅毒、クラミジア、毛ジラミ。正確な数字は忘れたけど、6人に1人くらいの女子高生がなんらかの性病にかかってるって話だったかな」
(中略)
「女って、同じレベルの女と群れたがるだろ。容姿とか成績とか生活レベルとか。高校生くらいだと特に。性病もってる女子高生が1人いたら、そのグループ内の他の子も同じく病気もってる可能性が高いんだってさ。世界もせまくて、友人の元カレとか元カノとか、異性関係も重なってることが多いからな」

【希望】
松田志乃ぶ作品なので、とりあえず読んでおいた。
でも次回は、明るい話をお願いしたい。
松田志乃ぶさんには、イヤミスよりラブコメが似合う。
(今回は、冬姫の存在が唯一の救い、である)

【蛇足】
読んでいて、湊かなえさんの「告白」を思い出した。


【ネット上の紹介】
進学校として知られる天智高校。春休みのある日、人気者だった春日井奈々が校舎から転落死する。自殺と思われたが、転落前、彼女の背後に人影を見たという証言もあり…。奈々が所属していた部活は、部員の名前に偶然、春・夏・秋・冬の文字があることから「四季の会」と呼ばれ、憧れる生徒も多い。だが、奈々の死後、部員たちに異変が起きて…。危うく儚い青春ミステリー。