とても興味深い内容で、面白かった。
生物界は多様で、何とかして遺伝子を残そうと奮闘している。オスを必要としない生物もいるし、途中で性転換してしまう生物もいる。ほんといろいろだ。
P4
男と女は、相当にエネルギーと時間の必要な無駄なシステムである。それでも、世の中には男と女が存在する――。どうしてなのだろう。(これは私も学生時代、疑問に感じた・・・ゾウリムシのように細胞分裂すればいいじゃないか、と。そうしたら、犯罪が激減するのに、と。ただ、そうなると名作と言われる文学作品がほとんど無価値になってしまう・・・ジレンマだ)
P21
他の個体と遺伝子を交換する利点のひとつは、「多様性」を生み出すことである。もし、元の個体がコピーをし続けると、元の個体と同じ性質の個体が、無限に増えていくだけだ。この場合、増殖した個体はすべて、元の個体と同じ性質である。そのため、環境が変化すると、対応できずすべての個体がいっせいに死滅してしまう恐れがある。
生物と病原菌ウイルスとの攻防:「赤の女王仮説」
P34
走り続けるアリスのように、生物は変化し続けなければ生き残ることができないのだ。
P39
オスにとっては「パートナーの数」が重要であり、できるだけたくさんのメスと交わろうとする。これに対して、メスは「パートナーの質」が重要であり、優れたオスを選ぶ戦略になる。
P40
オスとメスは、繁殖するうえで効率のよいシステムである。しかし、実は「どうしてオスがいるのか?」という、あまりに素朴な問いに対する確かな答えは、残念ながら出ていない。
P98
生物の世界を見回してみると、役立たずの男はいらないとばかりに、オスがいなくてもメスだけで子孫を残してしまう例も少なくない。(中略)
そもそも、全ての個体が子どもを産むメスならば、それだけで子孫は2倍になる。オスがいないほうが、ずっと効率的なのだ。(中略)
聖母マリアの場合は「処女懐胎」と言うが、このようにメスだけで子どもを産むことは、生物界では「単為生殖」と呼ばれている。
オンブバッタについて
P151
この2匹は夫婦であり、下にいる大きなバッタがメスだ。卵を生むために、メスの体は大きくなっている。それでは、小さなオスはなぜ、メスの背中に乗っているのだろうか。
オスの不安を想像すれば、もう、おわかりだろう。
オスは、交尾をすませたメスが他のオスと交尾しないように、片時も離れず、見張っているのである。
仲の良い夫婦の象徴、オシドリについて
P152
オシドリも、他のオスにメスを奪われないように、ぴったりとついてメスを監視しているだけなのだ。心配な気持ちは、昆虫も鳥も同じなのだろう。
P156
オスは生まれてきた子どもが自分の子であることを認知しにくい。メスを信じないというわけではないが、本当に自分のこどもかどうかわからないのだ。哺乳類のオスが子育てをしないのは、そのためである。(獰猛といわれるオオカミ、ジャッカル、コヨーテはオスが子育てする。理由は・・・「圧倒的な強さでメスの信頼を勝ち得たオスであれば、生まれてきた子が自分の子であると確信できる。そんな強いオスが子育てするのである」)
【おまけの感想】
読んでいて、「メスがメインで、オスはオマケ」、と感じてきた。

【ネット上の紹介】
人間が男と女に苦労しているように、実は、生物たちもオスとメスの存在に振り回されている。その悲喜こもごもな世界に迫ったのが、本書である。オスはメスのために存在するのか?オスにとって戦いは宿命か?家族を持つメリットは?浮気は必然か?弱いオスはどのようにして子孫を残すのか?などなど、役に立つ(!?)情報も満載!
第1章 オスとメスの誕生
第2章 「オス」という進化
第3章 オスを必要としない生き物たち
第4章 性転換する生き物たち
第5章 オスとメスの駆け引き
第6章 人間の「夫婦」の戦略
終章 そして、「死」が生まれた
第2章 「オス」という進化
第3章 オスを必要としない生き物たち
第4章 性転換する生き物たち
第5章 オスとメスの駆け引き
第6章 人間の「夫婦」の戦略
終章 そして、「死」が生まれた