「おひとりさまの老後」上野千鶴子
気になるテーマ。
何年か後の切実な問題、である。
P40
データをみると、結婚の好きなひとはこりずに結婚を何度もくりかえし、結婚しないひとはずーっと結婚しない、という傾向があるからだ。
P65
往年のケア付き有料老人ホームは、結局、中流以上の階層のひとびとの世間体のよい“姥捨て山”の役割を果たしたと思う。
P106
友人をつくるには努力もいるし、メンテナンスもいる。
P109
ときどき集まっては食事をともにするが、自分の自慢話ばかりするひとや、他人の過去を詮索するひと、説教癖のあるひとなどは、その場ではにこにこ合わせているものの、次回からさりげなくはずされている。(自慢、詮索、説教・・・この3つは要注意、私も気をつけたい)
P120-122
元気のいい男ならそいつの自慢話を、元気のない男ならそいつのグチを聞かされるはめになる。(う~ん、愚痴もダメだ!いよいよ話すことがなくなってきたぞ!)
P135
アウトドアの楽しみの理由のひとつは、わたしを受けいれてくれる大自然があること。もっと正確にいえば、人間を受けいれるでも受けいれないでもなく、ただ自然がそこにある、という圧倒的な事実に接することだ。
P137
人間が「こわれもの」であることをわかるようになったのが、年齢の効果だろうか。「こわれもの」だから「こわれもの」のように扱わなければならないと思うようになったのだ。それも、ずいぶんたくさんこわしたあとのことだ。
P181
両親を看とってつくづく思ったのは、人間のような大型動物はゆっくり死ぬということ。
P206
丁寧語は、相手との距離を置く技法である。丁寧語を使いつづけるかぎり、「わたしはあなたとの距離を詰めるつもりはありませんよ」というメッセージが伝わる。これを社会学の用語で「儀礼的距離化」という。ラッシュアワーの満員電車でカラダを密着させた相手とは目をそらすとか、ホントはまるみえなのに見てみないふりをする結界とかは、この儀礼的距離化の例である。
P245
ひとりでいることのつらさと、ひとりでいさせてもらえないつらさとは、どちらがつらいか。ストレスもトラブルも人間関係からくる。ひとりでいることが基本なら、心は平安でいられる。
【ネット上の紹介】
結婚していようがいまいが、世界一長生きの日本女性は、最後は「おひとりさま」になる(確率が高い)。 そこで、元気なうちに、セーフティネットを準備し、予備知識を得ておこう、というのが、この本の狙いだ。著者である東大教授の上野千鶴子さんも、おひとりさまの一人。「どうすれば安心して老いと付き合っていけるか、そして心おきなく死ねるか」を問いながら、その心構えや覚悟、今の社会に必要な情報やハイテクの現代ならではの便利なツールまで、幅広く先達や専門家の意見なども交えて紹介。住まいやお金、どんな介護や医療を受けて、最期は誰に何を遺し、どう終わるか。 社会学者の視点で、「老い」のさまざまな問題点も浮き彫りにしながら、自身の問題としても考察する。 上野教授、久々の書き下ろしである。
【目次】
第1章 ようこそ、シングルライフへ
第2章 どこでどう暮らすか
第3章 だれとどうつきあうか
第4章 おカネはどうするか
第5章 どんな介護を受けるか
第6章 どんなふうに「終わる」か