原題:『太陽とボレロ』
監督:水谷豊
脚本:水谷豊
撮影:会田正裕
出演:檀れい/石丸幹二/町田啓太/森マリア/田口浩正/河相我聞/原田龍二/檀ふみ
2022年/日本
思い入れが強すぎると逆にしくじる映画監督について
水谷の前作『轢き逃げ 最高の最悪な日』(2019年)が悪くなかったので本作もそれなりに期待して観に行った。作品の冒頭とラストのオーケストラの演奏シーンは悪くはないものの、終始違和感を抱かせるストーリーが逆に邪魔をしているのではないかとさえ思う。
例えば、主人公の花村理子が父親から継いだ洋装店を退職した後に、敏腕のアパレルのバイヤーとして再び理子の前に現れた畑中善行が理子を口説いてラブホテルに誘い、理子もベッドインまでしておきながら急にコメディータッチになり畑中を殴って部屋から飛び出して理子は逃げるのであるが、これは監督の水谷がベッドシーンに照れてしまって笑いで誤魔化したようにしか見えなかった。
あるいは弥生交響楽団の解散が決まって、逆恨みしたオーボエ奏者の牧田九里郎が鶴間芳文が営む中古車販売センターの車を夜中に破壊している最中に、ボンネットから足を滑らせた牧田は二本の前歯を失ってしまうのだが、そんな歯の抜け方をするのかというような感じだった。
何よりも重要な役割(本人役)で出演している指揮者の西本智実が一言も喋らないというのは、水谷が期待していたような演技が無理だったのであろうが、違和感しか残らなかった。
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