青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

柳町 白い花弁を 揺らす風。

2022年07月05日 17時00分00秒 | 小湊鐡道

(シロツメクサ揺れる・・・@上総鶴舞~上総久保間)

再び柳町踏切周辺で。小湊鐡道、首都圏にあって東京からも日帰り圏内の路線ながら四季折々のフォトジェニックさでは群を抜いており、それだけにもう数え切れないほどのアングルが撮り尽くされている感じはします。オーソドックスに撮ったらだいたいが誰かの焼き直しになってしまうのが小湊沿線。新しい視点や気づきみたいなものは、なまなかの撮り歩きでは見付けられないんですよね。そうなると、目線の高さを変えたり、広角レンズで変化球を投げたくなるもの。シロツメクサの咲き乱れる田んぼの畔に這いつくばって、広い空と若苗の田んぼを大きく取り込んでの一枚。これも誰かの焼き直しかもしれないけど、精一杯の新しい視点を大事に撮り歩きたいものです。

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初夏の駅 モノクロームで 切り取って。

2022年07月03日 09時00分00秒 | 小湊鐡道

(僕の写真旅@里見駅)

私なんか、本格的に自分のお金でカメラを買って写真撮影を趣味にしたのは30歳を過ぎた頃からですけれども、最近は20歳以下の若年層の方々でもなかなかパリッとしたカメラ機材を持って写真撮影に勤しんでいる姿を多く見ます。何年か前に大手カメラメーカーが、ユーザー層の拡大を狙って比較的お手頃な価格でそれなりに高性能のエントリー機を出した時期がありましたけど、その辺りからですかねえ。「一眼レフのカメラ」ってのはそれなりにお値段のするものですし、一昔前まではなかなか学生には手の届かない価格だったように思う。そもそも今はスマホを持っていればカメラすら不要、「カメラは持ってても(スマホで済ませちゃうから)一年くらい触ってない」という人が大半を占めるというデータがどっかで出てましたが、大手カメラメーカーもマニア層から若年層の取り込みを目指してエントリー機市場に踏み込んだものの、カメラ性能が強化されたスマホに負けて市場がシュリンク。結果マニア向けの高級ミラーレス市場に戻って行くようです。時代は巡る。

自分が20代の頃は、今の様に鉄道ではなく地方競馬を放浪していた時期だったのですが、親父から借りたカメラ(機種は忘れた)をほぼ借りパク状態で、デジタルの時代でもないのでそれこそ量販店で安売りしているようなフィルムを大量に買い込んでは旅に出ていた記憶がある。そもそもフィルム写真ってのは24枚か36枚かでしたけど、旅先から家に帰って近所のスーパーでDPE頼んで、それで2~3日してからやっと何が写ってるのか、キレイに撮れたかどうかが分かるというのは今から考えるとなんとまあ悠長な時間軸でやってたんだろうと思いますね。今なんかデジカメでバリバリ撮影して2秒後にカメラの画面で確認出来る訳ですし、自宅PCの画面で鑑賞するだけなら0円ですから。当時は24枚撮りで現像と焼き増しで1,000円くらいかけないとその成果物にすらあり付けなかったから、それをアルバムに一枚一枚差し込んで丁寧に整理してましたよね。・・・あの当時それなりに溜まってたネガとか、写真にした後はぞんざいな扱いをしてしまってねえ。それこそ部屋の隅でネガが溶けてしまっていたり、結局ほとんどを捨ててしまっているのではないかな。今はネガではなくてデータで残るから圧倒的に便利にはなりましたが、HDDの中に残っているデータも未来永劫残るものではなく、いずれ電脳世界の藻屑となって消えて行ってしまうのでしょう。逆に紙に焼かなくなった事で、自分が撮った事すら忘れてる一枚って結構多いと思うのよ。そういう日の当たらない一枚を掘り返してここで発表する事なんかも出来たら楽しそうなんですが。

網膜に映るデジタルの時代を、あえてモノクロームで切り取る初夏の里見。
これはこれでアリだと思う得難い令和の鉄道風景。小湊の深遠。

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鶴舞の この木何の木 気になる木。

2022年07月02日 00時00分00秒 | 小湊鐡道

(鶴舞の一本の木@上総鶴舞~上総久保間)

上総鶴舞の駅から、列車が上総久保に向かって緩やかに田んぼの中のスロープを下って行くその途中。田んぼのあぜ道の間の堀割りの横に、大きく目立つ一本の木があります。鶴舞駅の南側にある柳町踏切から眺めるとよく見える。房総の里山を背景に、大きく葉を茂らせるその木。いつもは遠目からこんな感じで小湊キハと絡めて構図のアクセントに使うことが多かったのだけど、たまには間近まで寄って見てみましょうか。

柳町踏切から、お寺さんの脇の農道をぐるっと歩いて一本木のたもとに来てみる。間近で見ると、思ったほどは大きくない。北海道の美瑛辺りにこういう草原の真ん中の一本木みたいなのがあって有名だけど、あれはなんつったかな、そう、ケンとメリーの木。スカイライン(ケンメリ)のコマーシャルに出て来て一世を風靡した、あのポプラの木のようでもある。それとも我々世代には、「世界!ふしぎ発見」で流れる「日立の木」のCMのほうだろうか。この木なんの木気になる木。

牛久以南の小湊沿線、基本的には列車の運行が1時間~1時間半に上下1往復くらいなので、早くも夏っぽい房総の空を見ながら列車が来るまで木陰に寝転ぶ。すぅーと青空に綿のような雲が流れ、そして体をそよそよと風が抜けてなおのこと心地よい。木陰でスマホをポチポチといじりながら、何の木だろう?と調べてみたら、どうやらこの木は「榎(えのき)」の木らしい。低い位置から枝分かれし、木陰を多く作りながら大きく育つので、神社の御神木や公園などの木としてポピュラーな樹木だそうで。エノキ、ボンバイエ。

小一時間、榎の木の下でぼんやりと優雅な時間を過ごした後に現れたのはキハ214。プレスドアなし、尾灯回転板なしのキハ200グループ一番の新車。新車って言っても車歴40年を超えてはいるんですけどね。パチクリ目玉がないので、何となくスッキリした顔回りが特徴。キハ40の投入はあれど、やはり小湊はキハ200の牙城であって欲しい。いずれそうではなくなる時代が来るのだとしても、それまではこの丸みのある、いかにも日車標準型らしいキハの姿を愛でていたいものです。

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テール灯 つぶらな瞳は 何を見る。

2022年06月27日 17時00分00秒 | 小湊鐡道

(車掌の仕事@上総中野駅)

上総中野の駅にて、ステップに足を掛けながら尾灯の反射板をパタリとひっくり返す車掌氏の仕事風景。小湊鐡道のキハ、尾灯の代わりに、こうして片目だけ反射板をひっくり返して尾灯代わりにしているのが凄く好き。この白く縁取りの付いた丸い目玉がテールにあるだけで、何と言うかすごく「田舎の気動車」という雰囲気が出るような気がする。子供の頃に読んだ鉄道の図鑑の中で、今はなき江若鉄道とか筑波鉄道とか同和鉱業の片上とか、地方のローカル非電化私鉄のキハはみーんなこの「反射板型」の尾灯を付けていたような気がする。今どきこんなレトロなアイテムを使っているところってココくらいのものでしょう。

折り返しの準備を終えて発車待ちのキハ200。反射板は両方の尾灯に装備されているのだけど、小湊の場合、反射板を反転させるのは必ず進行方向に向かって左側だけ。そのため、なんだかキハがウインクをしているようにも見えて愛らしい。私らより少し上の世代の方は「ダッコちゃん」なんかを思い出してしまうかもしれない。なぜ両方反転させないのかは知らないのだが、キハ200のグループで反射板の付いていないキハ214なんかも尾灯を点灯させるのは左側だけだし、新しく入って来たキハ40も小湊だと尾灯は左側だけしか点灯させていないので、これが社内ルールなのでしょう。

上総大久保。つぶらな瞳と紫煙を棚引かせてホームを出て行くキハ200。トトロの見守るこの駅も、隣接する白鳥小学校が消えてから来年で10年になる。かつては、黄色い通学帽子を被った子供達で登下校の時間は賑わった事を思い出しますね。駅前の農協は既に閉じられ、ATMコーナーも荒廃している上総大久保の駅前。駅近くの路地の家々にも空き家が目立ち、いよいよ駅としての存在意義が希薄になり始めているような気がするなあ・・・

Green Shower。季節には素晴らしい色付きを見せる大久保の大紅葉も、この時期は見事な青さで魅了してくれます。

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皐月風 上総爽やか 吹き抜けて。

2022年06月25日 17時00分00秒 | 小湊鐡道

(初めて見た新顔@上総牛久駅)

GWに和歌山~大阪南部方面へ出掛けてから、その後に何をやっていたかと言うと、まあ近所をブラブラしておったのですけど、正直体調があまり良くなかったんですよ。遠出する元気のない中で、一番遠出したのが房総半島と言う・・・でも、房総の方に出掛けたのって久し振りだったなあ。あっち方面って、撮影してからの帰りのアクアライン渋滞がとにかく嫌であまり足が向かないとこがありましてね。コロナ禍に突入してから一回も来てなかったんじゃないかなあ。そんなこんなの小湊鐡道、いつの間にか小湊の永遠のスタンダードでもあったキハ200に、元国鉄のキハ40が混じり始めていました。

いや、知ってたんだけど見るのは初めてだったなあ。只見色のキハ40、郡山からの移籍組。他には秋田から移籍して来た男鹿線組もいたりするようですが。後ろに高校の建物、只見色で構内踏切に交換駅でバックに高校なんてーと、ここは会津坂下なのかと勘違いをしてしまいそう。小湊がJRからキハ40の導入を始めたのは昨年春の事、郡山と秋田から5両の導入を実施しました。さすがに14両もいるキハ200を全部置き換える事は難しく、あくまで調子の悪いキハ200を代替えする事によって部品関連に余裕を出し、既存のキハ200をパーツ面から延命させる目的もあるようです。

新顔の登場に驚きつつも、牛久から大多喜街道を下って辿り着いた上総川間にはいつもの空気が流れていました。五月の終わりだったんですが、もうすっかり稲も伸びて青々とした姿を見せていましたね。街へ出る手提げ姿のおじさん一人、迎えに来るキハ200のツートンカラー。改めてホッとしますわな。小湊も、長い間キハ200が君臨して来ましたので、もう房総の景色とこの色は一体のものとして考えているフシがあって。キハ40の導入が何年振りの新車か分からないほど、ずーっとこの色でしたのでね。

小湊もコロナ禍に見舞われて以降、平日を中心に減便や終電の繰り上げ、区間短縮などで運用数が減少しています。そういう意味では車両の運用に余裕が出来ますから、キハ200を休ませながら延命させるという観点からは楽になっている可能性はあります。日中の五井~牛久のシャトル便は基本的にキハ40の単行運用になっていますしね。ただ、ここに来ての燃料高騰もありますし、収入面では決して楽じゃない状況が続いている事は想像に難くありません。暫く来ていませんでしたけど、そもそも房総半島、内陸部は過疎が進んでいて、コロナがなくても牛久以南の乗客数って元々厳しかったんですよねえ。人の出入りがあるのって観光要素のある養老渓谷周辺くらいでしたから・・・

まだ青苗の伸びの薄い田んぼで、柔らかな感じの水鏡を一枚。
緑のヴェールに包まれたキハ200を見ていると、結構満身創痍だなあと思う。

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