青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

この世の処方箋

2020年07月25日 17時00分00秒 | 小湊鐡道

(カンナも乾く旱天に@上総中野駅)

さて、しつこいのは新型コロナばかりでなく、今年の梅雨もなかなかしつこく明けてくれません。7月上旬の九州豪雨が梅雨末期の典型的な豪雨かと思いきや、早くも7月も終わろうとしているのに毎日毎日曇天か雨ばかり。例年の猛暑と比べれば気温も上がらず 過ごしやすいですが、こうも雨続きだと朝っぱらからセミが喧しく鳴き、油照りするような日差しが焚き付けるように注ぐ日が恋しくなったりする。まあ暑くなったらなったで「暑いんだよッ!」って叫んでブチ切れるのでしょうが・・・という事で、去年の夏にお盆休みのおヒマ時にぶらりと訪れた小湊鐡道での一枚を。植込みのカンナも、強い晩夏の日差しに照らされて乾き気味。そーいやコロナ禍の中で小湊は只見線のキハ40を買ったなんてネタもありましたね。整備や諸条件あって本格稼働はまだ先のようですけど、仙台色そのまんまで動かしたらそれはそれでまた盛り上がるのだろうなあ。

さて、四連休ですが皆さんどこかにお出かけはされましたでしょうか。一人で暮らしていればどこへ行こうと一人の判断になりますけども、家族がいると旅行するにも外食するにも感染に対する家族内のリスク評価が一致せず、結局「じゃあ何もしない方がいいね」という結論になってしまう傾向はありますよね。そうなると、自己判断が基本線になるソーシャルディスタンスの取れてる生き方(家族を持たない、他人に干渉しない、モノに執着しない)はこの時代単純明快で強いような気がします。それじゃあ寂しいじゃないか、という人間は、人間の和と連帯と繋がりに乗っかって蔓延するウイルスに絡め取られるか、ウイルスの恐怖に猜疑心満載となってしまった人間に後ろ指を差されて社会的に死ぬか。なんにせよこの時代は極めて生きにくい。

生きていく中での持ち物が多ければ多いほど、失うリスクに晒されるのがこの時代。「持たざるが勝ち」と言うのが、異常気象と災害と疫病が蔓延し、人心が疲弊して攻撃的となる令和の御世の新たな処方箋なのかもしれません。何分にも身軽が一番という事なのでしょう。

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川間惜夏

2019年09月01日 23時00分00秒 | 小湊鐡道

 (案山子戯れ@上総川間)

早場米の田んぼに、一人で見張り番の案山子。オフロード用のバイクのヘルメットを被る姿が滑稽だ。ジリジリとした油照りに蒸し上げられた空気の中、川間の田んぼで物言わず番をしていた。農家の方々にお盆休みはないとお察ししますが、さすがに日中の農作業は命の危険に繋がるのか、この時間は人っ子一人姿はなかった。勿論趣味で線路っぱたに立つのもこう暑くては難儀な日であったんだけど、幸いにしてここはクルマを寄せれる撮影地。列車が接近するまではエアコンをガンガンに効かせたクルマの中で過ごしながら、牛久のコンビニで買ったパピコやクーリッシュをチューチューと口にしてひたすら体の中の熱を下げるのであった。

お盆を過ぎた川間の田んぼ。空だけは何となく秋の気配・・・?いやいや、まだまだ夏が優勢か。久し振りにPLフィルターを目一杯効かせて、彩度バリバリの空の青さをファインダーに取り込む。川間の駅を出て来た渓谷行きの下り列車。案山子一人が、行く夏を惜しむように通せんぼのポーズをしていました。

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池和田夏憬

2019年08月31日 23時00分00秒 | 小湊鐡道

(稲田を渡る風@池和田踏切)

 もう8月も終わりという事で、子供たちの長い長い夏休みもようやく終了。まあ私なんかは土日だけの相手をしていればいいのだけど、ヨメさんはようやく学校が始まる事について心底ほっとしているらしい。そりゃあそうだ。起こして朝メシ、片付けて昼メシ、買い物行って習い事に送って行ってあっという間に夕メシの時間。そんなルーティーンと常に言う事を聞かず散らかしまくる子供二人を抱えて駆け抜けるように過ぎて行った40日間ではなかったかと思う。お疲れさまでした。

夏の空気感、夏らしいイメージ、夏の思い出、夏の憧憬。大阪から帰って来てから少しあって、一人でそんな風景を撮りに小湊鐡道に行ってました。去年もこの時期にふらっと小湊に来ていたのですが、房総半島は早場米の産地だけあって季節の風景の進み方が少し早い。ほんのりと色付いた稲田を渡る風に吹かれながら、池和田の踏切で行き交うキハと戯れる。池和田の踏切の空の拡がりは、いつも静かに私の心を癒してくれます。

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川間朱茜

2018年08月30日 20時47分30秒 | 小湊鐡道

(夕暮れ時@上総川間)

夏の終わりを告げるような、千切れ雲と夕焼け空。赤く焼けた空を狙って、西側が開けた上総川間の田園地帯で座を構えます。田んぼと森から聞こえる虫のすだきを聞きながら狙うは18時過ぎの上総中野行きですが、んー、思ったほどには空が焼けなかった。台風の影響か、低い位置にやたらと雲が出ているのでしょうがないか。


僅かながらでも乗客の下車があった上総川間の駅を後に、37列車が発車して行きます。ちなみに、上総中野行きはこの列車で最終。18時過ぎで最終とか驚くべき速さなのだが、どっこい休日ダイヤでは上総牛久基準で最終列車がさらに30分繰り上がります。かそけき夕暮れの下を通り過ぎたキハの姿の後を追ったら、田んぼの上を夥しい数のアキアカネが飛んでいました。昼間は相変わらずうだるような暑さが残る8月の終わりですが、季節はしっかりと進んでいるようです。
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馬立栄枯

2018年08月27日 22時00分00秒 | 小湊鐡道

(接近表示@馬立駅)

緩く日は西に傾いて、馬立の遅い午後。待合室に列車の接近を告げる灯りが点る。子供の頃、東京の国電のホームでよく見た接近表示器。小湊鐡道なりの設備投資による近代化に向けてのアイテムだったんだろうけど、それがいい感じに侘びて来ていて、なおかつ現役で稼働しているのがミソ。小湊鐡道の沿線、特に人口が多い五井~上総牛久間でも、平成初期のバブル期をピークにして需要減が続いています。


千葉市内への通勤圏に開かれた住宅地に入居してきた団塊世代が60~70代になり、その子供たちが選ぶのは都心回帰。家の数だけは建っているけれど案外と活気のない雰囲気や、昼間に人の姿が見えないあたりに街としての生命力が下がっている印象を強く受けます。私の亡くなった祖父母も昭和40年代に開発された北総の新興住宅地に住んでいたので、似たような肌感覚を覚えますね。


そのほとんどの部分を市原市内に有する小湊鉄道線は、そのまま市原と養老川流域の歴史と寄り添って来ました。この「馬立」という地名は、この辺りで農耕や荷役に使う馬のセリ市が開かれていたことに由来するそうです。「牛久」の手前が「馬立」とはこれいかに、という感じですが、いずれにしろ房総半島の中央部に牛馬に代わって恩恵をもたらしたのが小湊鐡道であることは間違いありません。



ツルリとシンプルな顔をしたキハ200形の交換。お隣いすみ鉄道のキハ28・52コンビに目が行きますが、こちらもデビューから50年モノのビンテージ気動車。見た目にシンプルなデザインなのであまり古くなっているイメージもないんだけど、日本で営業に供されている気動車の中ではもはや最古参の部類に入るのではないだろうか。小湊がキハ200形に形式を揃えているのは、可能な限り部品を共通化し異常時のリカバリメソッドを積み上げる事で保守管理を容易にするためだそう。その甲斐あって、未だに特に置き換えの声を聞くこともなく、房総の里山のイメージリーダーとして今日も走り続けています。
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