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青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

夜の雨に打たれて

2010年03月15日 18時00分00秒 | 日常

(画像:吉田温泉入口)

「いさぶろう4号」で吉松駅に戻り、今宵の宿へ向かう。
ちょっと時間は早いのだが、今日は朝が早かったものでねえ。
吉都線の京町温泉駅から北へ3km、吉田温泉と言うところに今日は投宿。
開湯天文23年(1554年)と言う、宮崎県最古の温泉場である。

 

田んぼの中の田舎道を行った先にあったのは、温泉場…と言うにはあまりにも小ぢんまりとした集落。
「亀の湯温泉」と言う公衆浴場で、ここが温泉場だと分かるくらいのささやかな規模だ。
そんな吉田温泉唯一の旅館である「旅館伊藤」さんに今日はお世話になる事に。
年配の方が経営されているのかと勝手に思っていたが、迎えてくれたのは40代くらいのご夫婦。
早速部屋に通されると既に布団は敷かれ、コタツが入っていた。
荷を解き卓上のお茶セットでお茶を淹れ、ゴロンと布団で横になってみる。
今回は久々の一人旅。
久々過ぎて前がいつなのかも覚えてないんだが…
旅館の天井を見上げながら思ったのは、ホントに一人の時間ってのは貴重なものですねって事(笑)。
前はそれこそ腐るほどあったんだけどさw

一休みしてからひとっ風呂。
湯量が少ない温泉だそうで、温泉街の規模同様風呂も小ぢんまりしていたが、
鉄の香りを強く含んだ透明のお湯が、疲れた体に染みわたるようです。
大人二人で一杯になる大きさなんで、本来は部屋ごとに代わりばんこらしいのだが、なにぶん平日。
今晩の泊まりは私だけみたいなんで、気兼ねなくお湯を使わせてもらいます。

 めしを食っても一人。
夕食には、宮崎らしく地鶏や鹿肉の刺身、陶板焼きや川魚の塩焼きが並ぶ。
頭ごと焼いたうなぎのかば焼きが濃厚にうなぎ臭くて美味かった(笑)。
元々この周辺は「真幸米」と言われる良質な米が作られていた場所らしく、
この旅館のお米は、今でも周辺の棚田で自家栽培しているものだそうな。
ご主人も「ウチはお米が評判で」とアピールしておられました。

宿に着く頃からポツリポツリ降り出した雨が、夕方から本降りになった。
夕食を終え、それでもカメラを持って宿を出る私。
この旅館のある昌明寺集落から車で10分程度の位置に、日中訪れた真幸駅がある。
最終列車を狙って、ちょっとバルブ撮影でもしようかなあって思ってね。
3年前に九州まで車で行った時も、夜の嘉例川駅でバルブやったんだけど、
肥薩線の古い駅舎は、夜に撮ると昼間よりもさらに雰囲気出るんじゃないかなあって感じてました。
そのために家から重い思いをして三脚も持って来ましたからw

  

雨は激しさを増す中、闇夜に浮かび上がる真幸駅。
予想通りと言ってはなんだが、ナトリウム灯の明かりに照らされた駅の雰囲気は実に幻想的。
雨音以外何の物音もせず、駅以外に何の明かりもない、山間の峠道の小駅。
待合室に並べられた椅子や机は、付近の小学校のものなのだろうか。

最終の吉松行きが、雨を衝いてやって来た。
昼間は列車の着くたびにホームの鐘の音が響いた真幸駅も、今は雨音だけが響き渡る。
行く先を照らす最終列車のヘッドライトが、叩きつける雨を照らして光る。
誰も乗り降りする人のいないホーム。
運転手が車内で運転席を移動すると、短い汽笛だけを一発鳴らして最終列車のドアが閉まる。

去って行く列車を駅舎越しに眺める。
どんどん強くなる雨。雨が激し過ぎてレンズに水滴が付着してしまったのだが、
そのままシャッターを切ったらプリズムみたいに妙な味に(笑)。
漆黒の闇の中を、列車の光の帯は放物線のようなカーブを描いて、吉松に向けて下って行きました。

コメント
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