青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

秋の地鉄漢旅其の四 虹を見た午後

2012年11月15日 23時23分14秒 | 富山地方鉄道

(まあるいブルーの環状線@丸の内駅)

地鉄市内線路線図。真ん中のぐるりは富山市街中心部の再開発計画に伴って新しく敷設された環状線。既存路線の丸の内~西町間をショートカットし、富山駅前と総曲輪地区を循環する路線となったんですな。円の直径自体おそらく1kmもないと思うのですが、富山駅前→丸の内→西町→富山駅前と反時計回りの一方にしか運転されてません。阪神高速のアレと考え方は一緒ですな。このビミョーな新線の開通に伴い、富山地方鉄道の総営業距離がこれまたビミョーに100Kmを超えましたので、使い勝手はともかく非常に意義はあったと言えるのではないかと(笑)。


北陸新幹線の工事が進む富山駅前。
それこそ大学生の頃、金沢競馬に遠征した時に富山の駅前には泊まった事があるんだけど、そん時ゃいかにも地方の県庁所在地駅っぽい3階建てくらいのどでーんと横に長い駅があったような記憶がありますが、工事用クレーンがそびえる風景も富山の過渡期のヒトコマか。


富山駅前から吊り掛け旧車の南富山駅前行きに乗車。ストレスない程度に頻繁に本数は走ってますので、来たなりに乗り潰してみましょうと言う事で…車内は買い物のおばちゃん連中に街へ出て来たカッペのヤンキーカップルと言う地方都市らしい風景(笑)。


西町から環状線へ。
環状線に投入されている車両は、最近流行りのドイツはボンバルディア製低床車。「セントラム」なんて愛称が付いてます。床はほとんど道路と変わらない位置まで下げられてるんだけど、いっつも思うのがモーターとか台車とかどうなってるんだろ?って事ね。

 

セントラムのマスコン周りと車内を。
路面電車ってーと、左に縦長のマスコン右にブレーキがあって、運転士さんがヒモを引っ張り、チンチン!と音が鳴ってマスコンをガリガリと回すと、ズモーンと吊り掛け音を立てながら走り出すものですが、まあ最新の路面電車ってのは簡素なものですな。右手の位置にあるレバーを手前に倒すと力行、前に押すと制動みたいですが、どうも鉄道車両にありがちなノッチ(段)がないみたい。これはてっぱくにあるオモチャの鉄道ゴーカートレベルではないか(笑)。実際運転するだけなら今日からでも出来そうだ。車内は座面だけが少し高い固定クロスシートで、おそらくシートの下に台車と床下機器が入っているものと思われます。


左回りで再び富山駅前を抜けて丸の内で再び乗り換え。今度は8000系と乗り換えるたびに車種が変わって効率的ね(笑)。


富山市街は冬を前に道路工事が佳境を迎え、電車の路盤もめくり返して掘り返してるもんですから、ところどころで路面電車も片側交互通行をやってたりして意外に時間がかかる。安野屋から神通川にかかる富山大橋を渡って新富山。ここからは四方を通って富山新港方面に向かう射水線が走っていましたね。新富山を出て終点の大学前へ。

 

帰りは二人で歩いて富山大橋を。今年の3月に架け替えられた橋の上で旧塗装の7000を撮影。グリーンとベージュの腹がけ塗装は地鉄の市内電車伝統のカラー。車の通行量が多くてなかなか上手く行かん(笑)。変わりやすい天気の富山界隈、神通川の上には虹も出ました。
安野屋からホントなら南富山駅前に抜けて上滝線で岩峅寺へ戻るプランだったんだけど、上滝線の時間が合わないので電鉄富山から寺田回りで戻る事にします。寺田回りの立山行きに乗って、寺田で狙うは赤矢の交換。


寺田駅でアルプスエクスプレス&特急アルペン充当のレッドアローの並び。
今度はアルプスエクスプレスが普通列車扱いですが、地鉄の場合は特急に充当される赤矢16010もダイコン14760も特急車と言う概念がないので、運用によっちゃあ普通にも入りますし区間運用もやらされます。構内踏切が開いてる間にさっさと撮影、普通扱いのアルプスエクスプレスは乗り得の運用と言えそう。よーく見ると台車がDT32、国鉄特急車でおなじみの台車です。この16010系に関しては、車体こそ西武のレッドアローですがその他の機器は色んな会社の廃車部品をツギハギに組み合わせた珍車とも言うべきものでして、その出自もバラバラの部品を組み上げた稲荷町工場の手腕たるや「地鉄の魔改造」と恐れられるのもむべなるかな。

 

リニューアルされた車内、4時を過ぎて外の明るさも乏しく…晩秋ですからねえ。今日最後の太陽の光に、姿を隠し続けていた剣岳がちょっとだけご挨拶。山頂が拝めたのは僅かな時間で、岩峅寺に着いた時には山も隠れ日も落ちて暗くなってしまいました。


家路を急ぐ学生と、ほぼガラガラになったアルプスエクスプレス。
ま~何とか天気も持ったし、いい一日でしたと言う事で宿に向かうとしましょうか。

次回に続く。
コメント
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