青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

黄昏の海を行く

2013年10月11日 23時46分09秒 | 京浜急行

 

(子供と、一緒に、どこ行こう@京急久里浜駅)


子供と一緒にどこへ行こうか、結婚してからの週末はそればかり考えているような気がする。それはそれで良きマイホームパパなのかもしれないけど、正直毎週毎週ではネタも尽きようと言うもの。ネタがないので本人にリクエストを求めると、十中八九は「けいきゅう!」と言うのも困りモノ(笑)。京急の何がそんなに好きなのか。速いのがいいのか、赤いのがいいのか。最近では寝付く時、子守唄代わりに「けいきゅうの、みさきぐちいきやって!」とか言うんだけど、何をやって欲しいのかと言えば京急の車内アナウンスのマネなんだよな。「ご乗車ありがとうございます、快速特急三崎口行です 停車駅は京急蒲田 京急川崎 横浜 上大岡 金沢文庫 金沢八景 横須賀中央 堀ノ内 堀ノ内から先は各駅に停車して参ります 間もなく発車いたします ドア、閉めま~す」「次は京急蒲田 京急蒲田 羽田空港方面、空港線お乗り換えです 次の羽田空港行 お隣1番ホームから エアポート急行羽田空港行接続致します…」と中途半端な親のアナウンスを聞きながらスヤスヤと眠りに落ちて行くのであります。本当だったら童話の一つも読んであげればいいのだが、本人がそれを望まないと言う大変由々しき問題がある(笑)。こんな鉄道漬けの毎日なのだが、これでいいのだろうか!?


鉄道漬けの毎日なので、先週はこれではいかんと一念発起して、久里浜から船に乗せて来ました(笑)。昼に家を出て、さすがにそこまでやると思ってなかった嫁が「こんな時間から千葉まで行くのぉ!?」と大いにビビり、子供が「えっ、おふねにのるのぉ!」と大いに喜ぶ。いや、京急の駅の券売機で買うと、金谷までの往復運賃込みで割とお得にキップが買えるのですよwってそういう問題じゃない?だって、ただ京急に乗って行って帰って来るだけじゃつまんないじゃん!


午後の久里浜発の東京湾フェリー。夏も終わりシーズンが過ぎ、まばらな乗客。そもそもアクアラインがETCで片道700円の時代に、久里浜と金谷と言うニッチな場所を結ぶフェリーと言うものの需要もいかばかり、と思う訳であります。船内に入ると、独特のモケットの消毒のニオイが183系の特急の車内のよう。うらぶれたというよりは草枯れた雰囲気と、マザー牧場のポスターがなんつーか昭和の雰囲気ムンムンですな。


久里浜から金谷、浦賀水道に沿って東京湾を横断する東京湾フェリーの航路。船内はガラガラだが、さすが日本の首都東京に繋がる港湾部だけあって船の数がハンパない。船首の左側から大型船が三隻連続で航行して来るのが見えるのだが、クルマの車間距離と比べれば相当な間隔をもって運航しているように思えても実際の船の旋回能力だとか敏捷性から考えると恐ろしくタイトな船間距離で運航しているのではなかろーか。超ド級の大きさのLNG船の真横で船宿の釣り船がプカプカしてるんだが、そーいや昔なだしお事件とかあったのもこの海域だったね。


そんな大混雑の浦賀水道をかっ飛んで行く水中翼船は、東海汽船所有の高速ジェット船「セブンアイランド」。竹芝桟橋~大島を1時間45分で結び、利島、新島、式根島、神津島まで足を延ばすらしい。ショッキングピンクの船体が東京湾上を滑空する姿は華麗です。


意外にもあっという間に船は金谷港に接岸。房総随一の観光スポット、鋸山の麓になります。房総観光って未だに鋸山とマザー牧場と鴨川シーワールドから脱却出来ないあたりが、より一層取り残された昭和感を際立たせているような気がするのですがねえ。特に降りてもする事もない時間帯、どこへ行くでもなく港の周りの土産物屋をフラフラしていたら子供が「おなかすいた!」と言うので近くのいなたいラーメン屋に入ったのだが客はだれ一人おらず…活気のなさに何だかこっちが申し訳なくなるような店で注文し、逃げるように食ったラーメンの不味いことと言ったら(笑)。だ麺ずウォーカー千葉に載せて差し上げたいくらいだよw


金谷港発16時の便で帰還。返しはラウンドを終えたゴルファーでほどほどの混雑ぶり、千葉の山ん中のゴルフ場からマイクロバスで送ってもらって、フェリーで帰る楽チン旅の需要はそこそこあるらしい。船室に入るやいなやプシュプシュと言う景気のいい音が聞こえて来て、出発前からジジイどもが本日のラウンドの反省会を開催(笑)。フェリーで来てるから電車利用だと信じたいのだが、久里浜港にクルマ置いてるヤツはくれぐれもお飲みにならないよーに。帰りは船尾のテラスでかっ○えびせんを撒いていたオバハン目当てに、カモメがフェリーをずーっと追尾するのを眺めながらの東京湾クルージング。オバハンが投げ上げたえびせんを空中キャッチするカモメの手慣れた捌きに子供が大興奮。


東電の横須賀火力の煙突が見えてくれば、久里浜はもうすぐ。
蒸し暑さは残れど、空の表情と光線はすっかり秋なんだなあと思わせる淡い黄昏でした。

コメント
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