青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

終着駅の一つ前 秋の西上州訪問記その2

2013年10月20日 06時24分49秒 | 上信電鉄

(赤津信号所@車内より)

下仁田と千平の中間点にある赤津信号所。交換する電車がない場合は直線側をスルーするスタイル。上信電鉄にはこの他にも南高崎~根小屋間の佐野信号所、西吉井~上州新屋間の新屋信号所と計3つも信号所があるんです。増発に伴っての交換設備の増強のためなんでしょうが、結構多いよね。ちなみにこの赤津信号所では昭和59年に信号の見落としによる正面衝突事故が発生していて、死者1名負傷者132名を記録する惨事となってるようです。被害の数字から思うのは当時の乗客の多さだなあ。昭和59年には年間475万人を輸送していた上信線の平成22年の年間輸送人員は220万人だそうで、当時の半分以下になっちゃってるもんなあ。


さて、小雨そぼ降る千平の駅前から歩き出してのひとコマ。最近汽車のマークのこの踏切標識ってあんまり見なくなりましたよね。まあ群馬だとSL走ってるトコもあるから上越線ならあながち間違いではないが、ここにはSLは来ません。結構この辺りの上信線の軌道ってヘロヘロなんだが、デゴイチなんか入線したら速攻で動輪がバラストにめり込んで脱線しちまうだろうな(笑)。

 

駅から徒歩5分くらいで、鏑川が刻む「不通(とおらず)渓谷」を見渡す橋の上に出る事が出来ます。「不通」と書いて「とおらず」とは思わずレ点を打ちたくなる漢詩読みだね。緑の水が美しいです。切り立った岩肌の渓谷はさすがに紅葉の気配はほんの僅かにあるかないか…と言う程度の感じですけど、あと1ヶ月もすればきれいな紅葉が見れるんだろうね。この渓谷の橋の上から渓谷を絡めて上信電鉄を撮れるようなのだが、いかがなもんざんしょ。ネタもなけりゃ朝早くこんなところで撮る人なんかまーったくいないのだけども、時折通る軽トラに乗った地元民に珍獣を見るような目で見られながら構えてみますw


渓谷の深さが結構あるので、上手く収められる構図と言うのがギリギリで難しい。暗い渓谷と線路を合わせるには露出がかなり違うので試し撮りを何枚か…これ、朝からピーカンだと光の角度的には渓谷に光が回らないはずなので、線路と渓谷の露出差が出過ぎちゃってお手上げかもしれませんな。どん曇りが幸いしたとも言える。また、こーいうロケーションの場合、雄大な渓谷を取るか、車両を取るかで意見が分かれます。景色を雄大に見て車両を小さくすれば鉄道写真としてのインパクトに欠けちゃうし、車両をメインにすれば雄大な渓谷は入りません。自分の場合は風景を先に見て車両を添えるイメージの広角構図が好きなので前者を選択する事が多いんだけど…遠くの踏切の音が聞こえ、やって来たのはさっき下仁田に止まってた1000系の高崎行き。半信半疑でシャッターを切りましたが、上信らしい車体の派手なラッピングのせいで、大きな風景の中でもしっかり列車の存在感が出てくれました。


次の下仁田行きはさっきの高崎行きと南蛇井で交換して来る5列車。今度はタテ構図で構えてみましたが、やって来たのは上信ラッピング軍団でもその派手な事はナンバーワンとも言える日野自動車ラッピングの6000系。幽玄な渓谷の上を飛び越えて、終点下仁田に向かいます。1000系のデザインも斬新ではありますが、この6000系のデザインも鉄道車両ではオンリーワンとも思える独特なものがあります。



そんな独特のマスクを愛でに、不通渓谷を後にして千平駅下仁田側カーブへ。下仁田からの返しの6000系をここで待つ事にいたしましょう。静かな山里に、遠くから車輪をカーブに軋ませる音が聞こえて来る。下仁田発高崎行き13列車が、深森のカーブを抜けて千平駅へ。丸型の四つ目にフロントグリル、ピラーレスの大型窓、そして燦然と輝く日野のエンブレム(笑)。電車なのにこうも自動車っぽい車両も珍しい。日野と言うよりは一昔前のマツダの「タイタン」に似てるような…


小雨の中を千平駅へ。駅のホームの片隅に植えられた柿の木に残り柿がひとつ。前パン2丁を振りかざし下仁田行きの第9列車は旧西武801系@群馬サファリパークラッピングのシマウマ模様。朝に上州富岡駅に滞泊してた編成ですね。上信電鉄自体は独立した企業ですが、こと車両に関しては自社発注以外は西武の車両を譲り受けるのが通例となっているようで。徹底したラッピングぶり&西武系列の車両=先日訪問した近江鉄道とかぶる部分が多いです。地方私鉄の現状は、旧東急車VS旧西武車と言う感じなんでしょうかね。西武の場合は101系も701系も3扉車と言うのが使い勝手がいいのかな。


下仁田でシマウマ編成と交換して来た高崎行き第20列車は元西武401系@人権ポスターラッピング。なんか近江でも人権問題ラッピング車を見たような気がするのだが、あれは人権じゃなくて検診だったっけ?ともかくイナカに行くほどこの手の人権問題が多いと言う事なのだろうか…車内にトレインビジョンよろしく小さな液晶モニターがついてて、ひたすら人権に関する啓発をし続けているってーのもちょっとアレだなあと(笑)。沿線の観光情報でも流してくれた方が…と部外者は思うのであります。

小雨に濡れる千平を後にして、一路電車は高崎へ。上州富岡から先は徐々に乗客も増え始め、立ち客も出る状態。東富岡、上州新屋、上州福島、西吉井、吉井と西上州の平野をほぼ真っ直ぐに走って行く電車。直線部分が多いのでそれなりにスピードを出すのだが、割とロデオ状態が楽しめますwあとでよくよく見たら、台車が国鉄のDT21型と同形の住友FS342じゃないですか!弱い軌道にコイルバネの台車じゃそらそうなるわな。

吉井からやや北東に進路を取り、鏑川を渡って馬庭、西山名、山名。
ずっと高崎まで乗っててもしょうがないので、そろそろ降りてみましょうか。
続く。
コメント
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