(鉄道の街の秋祭り@高崎鉄道ふれあいデー)
八幡宮の参拝を終え、再び山名から上信線に乗車。高崎商科大前、根小屋を過ぎ烏川の鉄橋を渡ると家並みが線路に近付いて来る。佐野信号所で上越新幹線の下をくぐると、住宅街の中にある南高崎を過ぎて右からJRの線路が近付き、終点の高崎に到着。おや、なんかJRの側線でイベントをやっているようで黒山の人だかり。朝から何にも食べていないので、改札を出たところにある高崎駅名物「たかべん」のラーメンで腹ごしらえ。ちなみにこのラーメン、ホームの立ち食いで出しているラーメンにしては醤油スープ&細麺の正統派東京ラーメンと言う感じで380円にしてはそこそこ美味しかったりする。
駅のコンコースを歩いて東口に出てみると、みんなぞろぞろと新幹線の高架下に向かって歩いて行くのでその流れに乗って行くと、この日は「高崎鉄道ふれあいデー」と言うイベントが開催されていた。高崎駅の側線の一角を仕切って、どどんと高崎の誇る名車群を展示しちゃいましょ、物販もやっちゃいましょ、特製の駅弁も売っちゃいましょ、まあ簡単に言うとそう言うイベントの様子。ホントだったら高崎で上信の車庫でもぼんやり眺めて、また上信線を撮り歩きながら往復してみようかな~と思っていたのだけど、せっかくのイベントなのでちょっと参戦してみる事に。
上信電鉄をメインの肴に据えて出て来たまったりムードの自分には、まずこの黒山の人だかりが何をかいわんやと言う感じなのだが(笑)、まーJR系のイベントとなれば集客力が違うっすね。それとヲタに混じってパパ鉄ママ鉄の多さが目を引きます。とりあえず物販ブースは後回しにして展示車両を見に行ったら、おお~さすが伝統の高機(高崎機関区)、シロクイチ&デゴイチをカマ焚きでスタンバイじゃないですか。ヲタは一眼でSL、パパママはスマホで子供とSLを収めるのにそれぞれが必死なのであります。
左がシロクイチ、右がデゴイチ。復活してからのシロクイチって恥ずかしながら初めて見たんですが、いやあさすがに動輪がデカイ。大井川のC11とかC56を基準とすれば、秩父のC58ですらデカイなあと思っていたのだが、それをはるかに凌ぐ重厚感はさすがに急客機と言う感じです。正直SLに関してはそこまでの知識ございませんけど、東北本線の仙台以北で「ゆうづる」や「はくつる」を引っ張って、みちのくの難所十三本木峠を越えて行った歴戦の勇者たる風格を感じます。産まれる前に亡くなった祖父は仙台でSLの機関士をやっていたそうなので、ひょっとしたら乗務した事もあるかもしれないなあ…それにしてもデゴイチともども烏の濡れ羽色とも言うべきピカピカに磨き込まれてイベントに参加しており、露出が難しいのなんのw
そしてSLの奥に鎮座ましますは高崎の至宝、鉄道文化遺産ともいうべきEF55に、ブルトレ世代が泣いて喜ぶPトップことEF65501!両雄と比べて華には欠けますが、日本の物流を陰で支えたEF60の19号機とともに、どちらかと言えばSLよりこっちの方がアタクシ的にはアツイ並びだなと(笑)。特にEF65501ね。小学館のコロタン文庫「ブルートレイン大百科」シリーズで育った30代後半にはどストライク。貫通扉の1000番台もいいけど、はやぶさ・さくら・みずほ・富士・あさかぜ・瀬戸・出雲…朝の根府川を駆け上がって行く写真が懐かしく思い出される、東京口ブルトレのスターでしたからねえ。
各々のご尊顔をタテ位置で。
片方のエンドにしかないEF55の独特の流線形、日本の機関車と言うよりスペインのタルゴだとか、そー言うヨーロピアンな雰囲気を感じさせる風合い。愛称はムーミンと言われりゃさもありなん。昭和11年鉄道省製、昭和39年に廃車となるものの昭和61年に動態復活し、ほんの3~4年前まで普通にイベントで走行するシーンもあったとか。高崎支社は本当に鉄道に関する意識が高いと言うか、文化財的なものを大事にしてくれるイメージがある。それが碓氷峠鉄道文化むらだったり、デゴイチやシロクイチの復活だったり歴史ある名機たちの保存に繋がっているんでしょう。
イベントの喧騒を抜けて、上信電鉄の高崎駅に戻って来る。
上信線の高崎駅には車庫が併設されており、今日は出番のない編成や事業用車両が留置されているのですが、その片隅に上信電鉄のシンボル的な存在であり、「上州のシーラカンス」ことデキ1が留置されている。ドイツはシーメンス社製の電気機関車で、製造は大正年間の古典凸型電気。貨物営業は廃止されてしまったので一線から引いてはいるものの、今でもバラスト散布やイベントの際にはその姿を見る事が出来ます。隣に留置された200形は旧世代の上信の主力車両と言うべき存在で、素っ気ないデザインの鋼体車両が逆に味わい深いのだが、冷房が付いていないと言う致命的な部分があって廃車が進んでいる形式らしい。
去る車両あれば、来る車両あり。上信電鉄では今年度と来年度に2編成の新車を導入する事が決まっており、検修庫の中ではありますがその顔を見る事が出来ました。パッと見た感じはつくばエクスプレスのTX-2000に京急の新1000を足したようなハニワ顔ですねえ。7000形を名乗るこの車両は新潟トランシス製の自社発注車。これも富岡製糸場の世界遺産登録事業の一環で、車両の導入自体に補助金が出てるとか何とかって話ですけど、地方私鉄の厳しい時代に未だに自社発注車が入って来る事自体が素晴らしいと言わざるを得ませんなあ…
上信電鉄の車庫の見学を終え、再び高崎駅から旅に出る事にいたしましょう。
11時半の下仁田行き電車は、元西武新101系@ララクラッシュ編成。ララクラッシュと言うのは「蒟蒻畑」でおなじみのマンナンライフが発売している商品の一種であるそーな。「♪マンナンライフの蒟蒻畑」と言うキャッチーなCMで、群馬県の企業の中でも知名度は全国区の会社だよなあ。下仁田名産のこんにゃくを使ったこんにゃくゼリーのトップメーカーであり、本社は富岡市、工場は甘楽町。上信電鉄沿線の最大スポンサー企業なのではないでしょーか。
イベントで並べられたシロクイチ&デゴイチのコンビが、大きく汽笛を鳴らす音が聞こえる高崎駅0番ホーム。
黒煙の香りが鼻をくすぐる中を、下仁田行きが発車です。
続く。