(去り行くもののすべてに@町田駅)
LSE最後の週末。最後は乗って締めようと思い立ち、昨日の帰りがけに駅の特急券券売機を叩いたところ、あっさりと親子2席分の特急券が取れて拍子抜け。ホントの最終日の列車は一般席まで満席らしいけど、まだこの土日ならよっぽど発車前でなければ余裕がありそうな雰囲気であった。町田駅の電光掲示板に、LSEでの運行を告げるはこね23号。えっ?LSEだなんてどこにも出てないじゃない…とお思いでしょうが、「11両編成」で運行されているのは7000型LSEのみ。
町田駅下りホームに滑り込んで来るはこね23号。行く先行く先で常にカメラを向けられているLSE、我々のような親子お名残り乗車組もチラホラ。土曜の午後の湯本行き特急、お名残り乗車の時間は約1時間。
窓側の人しか使えない、通路側の客の人権を無視した折り畳みテーブル。畳むときに横のボッチを押すんだけど、蝶番が結構硬くて畳むときに指挟む事しばし。いたずらに横のボッチを押して、うっかりテーブルの上のモノをブチまけた経験のある人間もいるはずw
倒すか、立てるか、二者択一しか出来ないLSEのリクライニング。今思うと何と前時代的な設えであろうか(笑)。確か展望席のシートはリクライニングすらしなかったんじゃなかったっけ??エアコンじゃなくて足元から焙られるタイプの暖房と言うのも昭和のクルマですよね。
車両の妻面にある自動ドア、プリントされているのは神奈川県の花であるヤマユリ。HiSEまで使用されていたデザインかと思いますが、このデザインともお別れになります。
ブルーリボン賞のマークと展望席。さすがにここはプラチナペーパー。定期最終運行を前に、愛甲~伊勢原の高架区間を行く。ここの高架の下り込みは400mm望遠でガッツリ圧縮する名撮影地でもあります。が、最近真上を第二東名が通るようになってしまったので、アングルも変わってしまったかもしれません。走行中にも拘らず入れ代わり立ち代わり記念撮影の乗客が訪れていまして、その分1号車のお客さんは落ち着かなかったろうなとも思う。1枚写真を頂戴して、そそくさと退散させていただきました。
1時間の個人的ラストラン。小田原で半数の乗客が下車し、箱根板橋のカーブを回ってゆっくりと進む登山線区間。連接台車特有のタタン、タタンというリズム感を味わいながら増水した早川沿いの隘路を行く。箱根のシンボル二子山も山頂が雲に隠れて、梅雨明け一週間見事な梅雨の戻り。西日本豪雨の被害が案じられますが。
箱根湯本着。その体がギリギリ収まるカマボコ屋根の下の1番線ホーム。湯本のホームは地形的にこれ以上延伸出来ないが故に、展望席のあるロマンスカーの全長は140m以上には出来ないという宿命を持っています。
LSEの引退は、SEから続くオレンジバーミリオン&シルバー&ホワイトの「ロマンスカーカラー」の終焉でもあります。箱根の風景にこんなに溶け込んだ伝統のカラーリングも、もう間もなく見納め。個人的には、このカラーリングが継承されないのは残念だなあ。HiSEと同じデザインだった時期が長かったけど、LSEがこの塗装に戻ると聞いてむっちゃヤル気出たもんね(笑)。思いを次の時代に届けるために、現役の車両の一本だけでも塗り替えて欲しいもの。どれを塗るかは相当意見分かれそうだけど。
折り返しの約10分間、多くのファンがその姿をカメラに収めようと展望席に群がります。とても個別に記念撮影の出来る状況ではないのがツライところですが、まあこのカオスっぷりも引退前末期感か。それぞれの人に、それぞれの最後の思い出の一枚。小学生の子供たちのファインダーに収まるLSE、昭和55年から38年間、間違いなく昭和と平成を駆け抜けた名車でありました。
平成24年のHi・R・JR371の一斉引退の時も思ったけど、これから何を撮ればいいのかな。
寂しくなるねえ。