(「林鉄」の香り高く@川根両国駅)
「EL急行」の間合い運用で訪れた井川線の川根両国駅。井川線の運行を司る両国車輛区を持ち、構内にはちょっとしたヤードがあって工事用のトラなんかが転がっています。春は満開の桜の古木に包まれる駅ですが、今や夏の盛りに青葉を繁らせ、緑のトンネルを作っています。夏草が覆う林鉄のヤードに、閑蔵行きの列車が入って来ました。南アルプスの急峻な渓谷に沿って切り開かれた井川線の線路ですが、昨今激甚化する大雨や台風の土砂災害によってここのところ毎年のように不通区間が出ており、千頭と井川の間の通し運行が出来たシーズンが本当に数えるほどしかない。今年もGWに閑蔵の先が崩れてしまって、現在も閑蔵~井川間が不通のままです。
珍しく川根両国で下車するお客さん。見たところチョイ乗りの家族連れの観光客っぽい。千頭から川根両国の間は歩いても20分程度ですし、駅横の吊り橋でも渡って時間を潰せば川根小山で交換してくる上り列車が30分後には来るので、トロッコ列車を愉しむにはダイヤ的にもちょうど良い塩梅かもしれません。そう言えばいつの間にかDDがスハフと同じ濃い目のクリーム色になりましたね。最近本線ばっかりで井川線まで足を伸ばしてなかったから分からんかったわ。
ちなみに、今のところ閑蔵~井川間の復旧の見通しは立っていないそうです。最近は仕方ないと思うにはあまりにも自然災害が多過ぎますよね。この度の西日本豪雨では山陽・伯備の幹線の他にも中国山地のローカル線が大きな被害を受けましたが、傷めつけられた鉄路を「復旧の費用負担が」というお題目でこれ幸いと廃止に向けての口実とも捉えかねない動きも目立ち始めています。道路の復旧にかける熱意とスピードの、ほんの一部だけでも鉄路に向けてはいただけないものでしょうかね。