(不人気な部屋@北勢線車内)
北勢線の車両は、軌間に応じて車体のサイズがかなり小さく、そのせいで冷房装置を搭載する場所がありません。中間車はムリヤリ車両の隅をクーラーの置きスペースにしてなんとか空調を確保していますが、運転台付きのクハ車だとそもそもの置き場所すら取れず、この現代において悲しくも非冷房車と言う車両が存在しています。阿下喜行きの北勢線4連、先頭車両は非冷房車。そぼ降る雨で窓も開けられませんで、この車両だけがメチャクチャ空いていました(笑)。
東員駅で「鉄道むすめ」のラッピングが施された274号編成と交換。北勢線自体は何度か乗りに来た事もあるだけに、取り立てて改めての感想もないのだけど、桑名から東員の間までは結構な乗客がいる。三岐鉄道に経営が移管された際に、駅の統合や再整備が行われている訳ですが、子供が「星川なんて相鉄線みたいだねえ~!」なんて言った星川駅も、元の坂井橋駅を廃止し、利便性を考えてユニー(スーパー)の前に移動させて出来た駅。こういう小回りの利いた感覚の改革が功を奏しているのかもしれない。
東員を過ぎると、元々沿線の人口が減って行くので、三岐移管時に元々あった駅を積極的に統廃合もしくは廃止しているのも特徴ですかね。六把野と北大社を統合して東員駅、大泉東と長泉を統合して大泉駅、終点の阿下喜に向かって上笠田と六石の駅は廃止。駅の設備に関する経費を圧縮するとともに、停車駅の減少によるスピードアップにも貢献しています。楚原を超えるとだいぶ駅間距離が長くなりますが、あまり人家もないような田園地帯なんで確かに駅はいらなさそう。遠くに見えるコンクリートの橋脚は東海環状自動車道だろうか。
西桑名から小一時間揺られて、終点の阿下喜駅。この駅は駅前に「阿下喜温泉あじさいの里」という市営の日帰り温泉施設があって重宝している。まあ大して温泉っぽい温泉でもないんだけど、汗を流してさっぱり出来るし、施設が新しくてきれいだし、入浴後の休憩所が広くて良い。何気に北勢線に乗るたびに来ているお気に入りの施設だ。連日の朝5時起きに多少は子供も疲れているかと思いきや、そこは全然平気らしい(笑)。案外と体力があるな。何となく北勢線に乗ってしまったけど、本当は三岐の本線に行って西武リバイバルカラーか西武赤電を狙いたかったんだよね。けど、運用見たらどっちの編成も昼で保々の車庫に入庫する運用で、これじゃ行ってもしょうがないかなあって。
温泉に入って、風呂上りに休憩所の畳で子供とコーラ飲みながらゴロゴロ。すっかりのんびり寛いだ後、駅に戻って来てみれば、阿下喜の駅はすっかり夕方。部活帰りの高校生で賑やかなホームに、黄色い食パン電車がやって来ました。我々も、これからはひたすら帰るだけの道程です。
ロングシートに向かい合って座れば、前のお客と膝が擦り合うような狭さ。乗客の多くは地元の高校生同士、ナローの台車の揺れる音に合わせながら、膝を詰めての話が弾みます。試験も終わって、そろそろ楽しい夏休みの話だろうか。それとも受験勉強の話だろうか。ひとっ風呂浴びたら眠くなって来てしまったなあ。ナローの吊り掛けの音と、高校生のお喋りをBGMにしながらウトウトと。
桑名からは18:20発の快速みえ22号。桑名を近鉄のビスタカーと同時に発車して、木曽川を渡るくらいまではイイ感じで先行していたのだが、関西本線は弥冨から先で単線になってしまうのでここで勝負あり。単線区間の交換待ちに足を取られながら、夕暮れに靄のかかる濃尾平野の輪中を120kmでひた走って名古屋駅の12番ホームへ到着したのは午後7時前でした。
「JR東海&16私鉄乗り鉄たび☆きっぷ」が有効なのは熱海までですが、帰りは乗り越し券を購入して小田原停車のひかり532号。名古屋~熱海の自由席特急券・熱海~小田原の自由席特急券+乗車券を分けて買わなければならないので少し割高になってしまうのだが、こだまでチンタラ帰るよりはマシか。というか、東海道新幹線はのぞみが多過ぎてこだまは待避時間が掛かり過ぎるからなあ。もうちょっと名古屋界隈で遊んで、最終の小田原停車のひかりで帰ろうと思ったんだが、子供がいたのでそれは自重した。ゆっくりメシも食ってる暇がないもんで、夕飯は新幹線ホームの名物・立ち食いきしめんの「住よし」へ。横川の峠の釜めしじゃないが、個人的には名古屋駅の新幹線ホームで「住よし」のきしめんを手繰らないと名古屋に来た気がしない(笑)。
という訳で二日間で御殿場線・東海道本線・東海道新幹線・高山本線・長良川鉄道・養老鉄道・北勢線・関西本線と、JR東海を中心に中京地区のローカル私鉄を乗り潰してみました。そこそこハードな日程で心配もあったんだけど、子供が付いて来れたのは大きい。体力が付いて来たんだなあと思う。この日程がこなせるんだったら、どこに出掛けるにしたってもっと選択肢は広がりそうな気がするよね。個人的にも久し振りに乗り鉄旅だったんで面白かった。列車が出発する時間までという限られた時間内で、最大限の効果を狙って途中下車のプランニングをする楽しみというのは、クルマの旅とはまた違いますもんねえ。天気は正直恵まれなかったけど、雨に濡れてしっとりとした長良川の風景は良かったですよ。そう思えば、水の街郡上八幡、大垣の水まんじゅう、養老の滝・・・と、何やら水にまつわる話題が多かった今回の旅でしたが、改めてこのフリーきっぷの券面を眺めていると、まだまだ他のプランがどんどん浮かんできて、別の使いようがあったのではないか?と思ったり。
そしてこの話を綴っているうちに日本列島は梅雨明け。灼熱の真夏がやって来ています。