青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

遥か都、近き東京。

2021年07月12日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(夜に佇む@舌山駅)

新幹線と接続する新黒部から300メートル、小さな水色の木造駅舎が眠りに就こうとしています。舌山駅20:30。もうあと何本かの列車の発着を待つのみの駅前広場に、待合室の蛍光灯の灯りだけが煌々と差している。静謐な時間の流れ。駅横の道をたまに車が通り抜ける時だけ、光と物音が動く。

舌山の駅は、この駅で交換をする場合以外は、富山へ行く電車も宇奈月へ行く電車も南側の2番ホームを使う一線スルー方式。これは、駅舎側の1番ホームが、旅客の発着というよりは農業倉庫からの荷物の積み出しのために使う貨物ホーム的に使われていたからではなかろうかと思われるのだけど、そんな農業倉庫とフラットに繋がる1番ホームから宇奈月方を見やると、京阪かぼちゃの電鉄富山行き158レがライトを光らせてやってきました。

黒部宇奈月温泉から東京方面の最終の新幹線は20:55発のはくたかなので、この158レが宇奈月から東京への最終接続列車。富山のしかも黒部川流域から、こんな時間になっても当日中に東京に戻れることに、北陸新幹線がもたらした圧倒的かつ革新的な交通事情の改善を感じてしまう。ちなみに、30数年前のJR発足直後だと、黒部19:28発の雷鳥25号で長岡乗り換え→上野23:16着。前述のはくたかは東京に23:24着なので、およそ1時間半の滞在時間の増加が図られたことになる。尤も、少し前までは23時台に魚津を出る特急北陸、そして黒部を出発する急行能登があって、これに乗れば上野は翌朝6時台。身支度を整えてからでも、出社に十分間に合う時間に都内に戻る事が出来た。どちらが便利かは、人それぞれだろうけど。

暗闇の中で物憂げに流れるテールランプと、東京行きの最終列車を見送る。
速さの先に消えた情緒の澱が、糸を引いて闇に消えて行きました。


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