(町の中心駅にも、合理化の波@皆野駅)
秩父鉄道は、首都圏を走る鉄道ながら、長い事SuicaやPASMOなどのいわゆる「交通系ICカード」というものが使えませんでした。殆どの駅で駅員さんが窓口に居て、出改札業務をこなすオールドスタイルの駅務はこの鉄道の特徴の一つでもあったのですが、とうとう今年の3月から秩鉄にもPASMO導入が決定。それに伴い、大幅な出札窓口の合理化が行われることになりました。3月以降に有人窓口が残るのは、羽生・熊谷・武川・ふかや花園・寄居・長瀞・秩父・御花畑・影森・三峰口の10駅のみ。他の27駅はPASMOの簡易リーダー導入により、一斉に無人化が図られることになります。
この報道が流れて来た時は、流石に驚きましたねえ。秩父線の駅ってーと、どんな小さい駅でもとりあえず一人は嘱託と思しき年配の駅員さんがいて、30分に1本くらいの電車が着くたびに、改札だけはしっかりやってた。改札の他にも、たまに訪れる観光客にフリー乗車券を売ったり、運転日にはSLの案内や指定席券の取次ぎをしていたりね。自動券売機もあったけど、窓口で乗車券頼むとフツーに硬券で出て来たりしてたから、それこそ切符趣味の人にとっては秩父鉄道って貴重な会社だったんじゃないかなあ。勿論、撮り鉄的な目線から見ても、ローカル私鉄的な路線でここまで各駅に駅員のいる鉄道会社ってのは魅力的だったんですよ。写真のモチーフにさして貰った事もあるし、何より人の姿がある事による安心感と言うか・・・ね。
あまりにもドラスティックな秩鉄の合理化策。中間の小駅はしょうがないにしても、市の中心駅である行田市の駅もそうだけど、ここ皆野の駅まで無人化の対象とは驚いたものです。一応町の玄関口の駅でもあるし、SL停車駅だからねえ。皆野。まあ私なんか古い人間だから、駅の役割って何だろう、駅における窓口の役割って何だろうって改めて考えてしまう。ピッと入ってピッと出るだけであれば、人などは必要ないのかもしれないけど、緊急時の連絡とかトラブルとかだってあるだろうしね。それこそ貨物列車の多い秩父鉄道だから、時刻表にない列車もやって来る訳であって、駅の安全要員としても駅員がいる意味はあるとは思うのだけど・・・おそらく、各駅に勤めていた嘱託の駅員氏については、そのまま職を辞する人も多い事と思います。この施策は、地味に地元の雇用って面でも後退するけど、うーん。コロナ禍で傷んでしまった鉄道会社には、一刻も早い合理化が必要なのも分かるのが辛いところ。
街の中心駅ですら、春からは駅員の姿が無くなること。コロナがいみじくも地方鉄道の疲弊と窮状の針を進めたこの2年。コロナがなければ、この駅から人が消えることはなかったのか。それとも、ICカード導入は前向きな設備投資による合理化として受け止められ、コロナ関係なく人の姿は消えていたのだろうか。駅前の川魚屋から、鰻を焼く芳しい香りが漂う皆野の駅。郷愁を誘う赤屋根の駅舎を掠めて、返空7205レ。
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