青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

冬枯れの 山に最後の その姿

2021年02月21日 09時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(最後の日々を淡々と@上大平台信号場)

過日、3月21日での引退が発表された箱根登山電車のモハ2型109号。コロナ禍の中で、大々的な引退イベントがなかなか開催しにくい中、ささやかな餞として特製の方向板が付けられています。両運転台の単車ということで、普段は2連のモハ1型に増結の3両目としてお供に入る事の多い車両ですが、すっかり箱根のファンにはお馴染みになった「三色団子」と呼ばれる104(赤)-106(青)+109(緑)の編成で、函嶺の峻険に挑みます。上大平台に80パーミルを落ちながら入ってくる構図って好き。線路脇の勾配標と合わせて、鯉の滝登り的な姿がいかにも登山電車!って感じがしますよね。

元々は昭和2年(1927年)に製造された、小田原電気鉄道チキ2型をルーツに持つ109号。途中で鋼製車体に載せ替えを行っていますし、足元もカルダン台車に換装しているので、見た目的には昭和30年代のクルマって感じなのですが。実際乗車すると、104-106のほうが車内は古い感じもして、引退するほどなのかなあ・・・なんて思ったりもするんですよ。今回の引退は検切れって事もあった模様ですが、109の引退によって、残るのは104-106の2連と単車の108のとうとう3両のみ。少なくなったよなあ。物心ついた頃から、箱根の山と言えばこのモハ1・モハ2でしたからねえ。1000形のベルニナ号が新型電車としてやっとこさデビューしたくらいのイメージだったので。

この時期、箱根の山はすっかりと冬枯れて色のない季節。雪でも降れば別ですが、箱根の自然と取り合わせた109のラストの姿を・・・と思う向きには、組み合わせるものがなかなか線路際には見付からず、寂しい季節でもあります。それだけに、狙いはあくまで普段通りの運用を淡々とこなす姿なのかなと。スイッチバックで、ブレーキハンドルを抜いて運転士さんが行き交う風景って、旧型車でしか見られないんですよね。なかなか遠出と言う訳にも行かないご時世ですが、最後の109に会いに来られる際は、ぜひ感染対策をバッチリ取ってお越し下さい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 三田線スナップ | トップ | 高尾の山の大権現 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

箱根登山鉄道」カテゴリの最新記事