(昔日の賑わいいずこ@浜大津駅前交差点)
浜大津駅前交差点を石山坂本線の電車が行き交う…ものの、GWの日曜日の昼下がりにもかかわらずまるで人通りのない浜大津の駅前。交差点に面した「明日都浜大津」は、以前は京津線の浜大津駅があった位置に建てられた商業ビルですが、相次ぐ商業施設の撤退によりテナントが埋まらず、公共施設にてテナントを埋める厳しい状態が続いているそうな。大津市自体は京都・大阪方面のベッドタウンとして人口増加傾向にあるようなんですが、人口増は西大津バイパスによって京都と直結した湖西線方面や瀬田川を渡った東部の地区に限られ、JRの大津や浜大津周辺のかつての都市部は空洞化してしまっている様子。昔日の賑わいを取り戻すための「旧市街の復活と活性化」は、そのまま京津線と石山坂本線にリンクした課題でもあります。
石山坂本線の北の終点・坂本駅から折り返しの電車に乗って滋賀里駅へ。この辺り、石山坂本線の沿線にしては田園風景が広がっているロケーションが気になって降りてみたのだが、あいにく天気は下り坂。駅近くの田んぼにて比叡山に続く山並みをバックに撮ってみたのだがパッとせず(笑)。線路際の倉庫に貼ってあった懐かしの金鳥&キンチョールの看板でごまかしてみますw
駅前のタバコ屋に味がある滋賀里駅。駅に並行する道路信号の表記は「滋賀里電停」。電停と言うのは厳密に言えば併用軌道上の安全地帯に設けられる駅なんですが、まあ周辺住民にとっては石山坂本線は路面電車みたいな扱いなのかもしれません。運転間隔が長く、ちょっと待ち時間を持て余すお客さんたち。
時刻も16時を回ったところで浜大津の駅まで戻って一服していると、昼間は錦織車庫にてお休みしていた京阪特急色の603編成が出て来ました。この編成は京阪電車100周年を記念してこの塗装になったそうですが、今や京阪本線でもこの伝統のカラーリング(旧特急色)を纏う編成はいなくなってしまったので、ある意味貴重(って富山行けば一応見れるのか)。この編成に乗ってとりあえず石山坂本線を完乗してみる事にします。
少し疲れが出て来たのか(朝早かったからね)、部活帰りの高校生に囲まれながらうつらうつらと石山寺方面へ。浜大津から石山寺へ向かっては、大津の旧市街を右に左にカーブして、こまごまとした駅で乗客を丹念に拾いながら走ります。膳所本町から京阪石山にかけては細路地に古い長屋が軒を連ねる風景が続いていて、乗って来るお客さんも高齢者ばかり…特に瓦ヶ浜の駅の周辺は何とも言えないノスタルジックなモノトーンの空間が広がっていましたが、ここいらへんの街の再開発のしようがない雰囲気には、やや閉塞感が漂います(写真は帰り道に撮ったものです)。
JRの乗換駅である京阪石山で大抵の乗客が下車し、軽くなった電車は南に進路を変えて終点の石山寺駅に到着しました。石山寺はおよそ8世紀に建立された真言宗のお寺で、紫式部が「源氏物語」をしたためる際に着想を得た場所っつー伝承もある由緒正しきお寺です。もうちょっと駅に近いところにお寺があれば参拝しても良かったんだが、石山寺へは駅から約15分ほど離れた場所にあるようで。頭端型の3面2線のホームは多客時対応で乗降分離型に出来るようになっていて、何となく以前訪れた多賀大社前駅(近江鉄道)を思い出します。
駅は瀬田川のほとりに位置しており、道路を挟んで河原に降りてみれば、その悠々とした流れを眺める事が出来ます。流れが緩く川幅も広いせいか、カヌーを楽しむ人が多い。この辺りは近江八景に「瀬田の夕照」として名を連ねた景観の地であり、なるほど広い川面を夕日が染める風景はなかなか絵になりそうだ。惜しむらくは天気の崩れが予報以上に早くて夕日どころかポツポツ雨が降って来たと言う事実だがw
石山寺駅に入線する605編成と603編成の並び。正調京阪普通色と特急色のコラボレーション。子供の頃に本で見た京阪電車ってのはこの色で、鳩のヘッドマークがついていて、テレビカーで、特急淀屋橋行きって感じでしたよね。当時、本でしか見る事が出来なかった関西の私鉄で一番好きだったのが阪急の6300系で、2番手が京阪の3000形。ともに大阪梅田・淀屋橋から京都河原町・三条まで、京阪間を結ぶ2大花形車両。これに阪神電車のジェットカー、南海電車のズームカーまで押さえておけばガキ鉄としては完璧な知識だったかな(笑)。
島ノ関付近を行く特急色編成。阪急6300系とかは今でも嵐山線で走っているそうだし、機会があれば見に行ってみたいものだ。そう思うと一回泊まりがけで関西大手私鉄総ざらえの旅ってのもやってみたくなるなあ。「スルッとKANSAI」と言う便利なキップも売っていることだし…
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