5/27(水)、「奈良デスティネーションキャンペーン」(奈良DC 来年4/1~6/30)のための全国宣伝販売促進会議が、県新公会堂(奈良市春日野町)で開かれた。第1部(15:00~16:30)では全体会議、第2部(17:30~19:30)ではレセプションが行われた。私は第1部に参加した。
http://www.nara-np.co.jp/20090528104356.html
デスティネーションキャンペーン(DC)とは、JR6社と自治体、地元の観光事業者等が共同で実施する大型観光キャンペーンのことだ(デスティネーション[Destination]とは目的地・行き先の意)。1978(昭和53)年11月から、当時の国鉄と和歌山県が共同で実施した「きらめく紀州路」キャンペーンが始まりである。奈良が舞台となるのは、ならシルクロード博直前の1986年(昭和61年)に行われた「あなたとなら・大和路」キャンペーン以来だから、24年ぶりの開催となる。
※祝!奈良デスティネーションキャンペーンが決定(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/1f270e9cb4af759b65ebe05b63c6f8dd
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会場となった奈良県新公会堂(08.5.11の撮影。会議当日はカメラ持ち込み禁止だった)
この日は全国から、旅行エージェントや雑誌・出版関係者など約300人が出席した。第1部は、笑福亭純瓶さんの創作落語「久米仙人」で始まった。久米仙人は、久米寺(橿原市)の開祖ともいわれる。地上に落ちた久米仙人の後日談で、俗世間に3年間暮らし、仙術も衰えた久米仙人が、ひょんなことから腕を見込まれ、天皇に頼まれて仙術を使わねばならないハメになり、ところが…、という噺である。
開会挨拶では《窪田修副知事が「県としては体験型と交流型のツアーで地域の活性化を図っていければと思っている。今年はプレ奈良DCの年だが、観光客の誘致イベントなどをやっていきたい」、JR西日本の佐々木隆之副社長は「広い奈良を訪れる人に楽しんでもらえるように汗をかきたい。JRグループが一体となっておもてなしをしっかり行っていきたい」》(奈良新聞 5/28付)と語った。これは頼もしい。
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平城(なら)遷都祭2008(08.5.3)
続いて平城遷都1300年記念事業協会は、1300年祭の内容を紹介するビデオを放映、そのあと会議資料に基づいて口頭で説明したが、この話がメリハリもなく冗長で、退屈した人も多かったことだろう。ビデオで1300年祭の説明は済んでいるのだから、口頭ではそれ以外の部分についてのみ言及すべきだった。また「PowerPoint」の操作(Enterキーを押すだけ)にわざわざ若い職員を横につけていたが「奈良の幹部職員は、パソコン操作すらできない」と、全国に恥をさらしたようなものだ。
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奈良公園・興福寺境内(5/19撮影。トップ写真とも)
1300年祭のことは(すべて協会のHPに載っていることであるし)ビデオだけで済まし、残り時間はJR沿線の観光協会の人たちが地元の見どころをプレゼンする、というような工夫がほしかった。話に出てきた「桜井線 旅万葉」や「駅からはじまるエコ散策」という企画も面白いので、この辺りをもっと詳しく説明すべきだった。
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奈良公園・興福寺境内。「お~い、ジッとしてろよ」(08.5.21)
なお奈良DCの「プレキャンペーン」は、すでに4月から始まっている。JR西日本のHPによると《JR西日本奈良県と共同で開催する平成22年4月から6月の「奈良デスティネーションキャンペーン」に先立ち、平成21年4月1日から6月30日までの3ヶ月にわたり「奈良デスティネーションキャンペーン プレキャンペーン」を開催いたします》。
※JR西日本のプレスリリース(同社のホームページ)
http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174143_799.html
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09年誕生の子鹿第1号(女の子)。とてもカワイイ(「奈良の鹿愛護会」のHPより拝借)
※動画はこちら(奈良テレビ放送のニュース:YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=GYWeCBsGbrU
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(同上)
《プレキャンペーン期間中には、今年が成立1250年を迎える「万葉集」ゆかりの地が数多く存する桜井線沿線で特別イベントを企画するとともに、奈良・桜井エリアへのおでかけにおトクな商品をご用意しています。この春は、万葉の魅力あふれる奈良・桜井エリアにぜひ、おでかけください》。
※県政公開ニュース(奈良県のホームページ)
http://www.pref.nara.jp/koho/hodo/h21/html/021250-090407122825_M16023.html
今年が「万葉集成立1250年」にあたることは、私もあちこちでPRしているが、これを観光キャンペーンに取り入れたのはJR西日本が初めてだろう、有り難いことである。
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奈良市・東向(ひがしむき)商店街(08.5.21)
第2部は(私は出席していないが)、「蛍の会」から地元食材を使った料理が振る舞われたそうだ。蛍の会とは、配付資料によると《奈良県内で飲食業を商う若手を中心とした料理人とその各店に集う老若男女により、思いを同じくして設立しました。奈良の食文化の更なる発展を通じて、地域文化の継承と振興、商業者の資質向上と消費の発展、奈良に住む方々の地域産業に対する思いの高揚を目的としています》とある。
※蛍の会の公式ブログ
http://yume824.exblog.jp/i0/
なお、名前の由来は《一人ひとりの力は小さくても、ホタルのようにたくさん集まれば、明るくともせるはず》(読売新聞「ひと 大和」)ということなのだそうだ。
※蛍の会を紹介する読売新聞「ひと 大和」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/kikaku/038/41.htm
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当日のレセプション会場風景(画像は関係者から拝借)
蛍の会関係者の方から、この日の料理の資料を見せていただいたが、今話題になっているロカシカカフェ(をかし東城:奈良市川之上突抜町18)の「春鹿の酒粕入り レアチーズタルト」や、「手作りハム・ソーセージ工房 ぱあく」(五條市小和719)の黒豚を使った酒楽(奈良市中院町22-4)の「黒豚ばぁくの炙り角煮」、paso A paso(パッソ ア パッソ:奈良市大宮町6-2-14)の「黒豚ばぁくの生ハム」、バーテンダー協会の「奈良の八重桜」(今西清兵衛商店)をキリンレモンで割ったロングカクテルなど、美味しそうなメニューが並んでいた(キリンビバレッジは奈良DCの協賛企業)。
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今西清兵衛商店の「奈良の八重桜」とカクテル(同上)
メニューのなかに、RAHOTSU(ラホツ 奈良市高畑町1073-2)の「三輪素麺と2種のタイカレー」があって驚いた。カレーそうめんは、私が東京で発見したメニューである。あの麺は「フーティウ」(米粉で作るベトナムの麺)だったが、ここでは本物の三輪そうめんにタイカレーをかけたようである。
※カレーきしめん vs カレーそうめん(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f356c7d9710cdacfdb4ea4b7dbbde360
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ベトナム料理「ミュン 本郷店」のカレーそうめん(600円 東京都文京区 08.9.11撮影)
レセプションには参加していないので、味は推測するほかないが、これまでこの酒の催しでは、柿の葉寿司と三輪そうめんをずらっと並べ、県の職員がぎこちなく応対する、というパターンだった。今回、そのスタイルを改めたということは、それだけでも評価に値する。今後も機会をとらえて「奈良にうまいものあり」を大いにPRしていただきたいものである。
会議の冒頭で窪田副知事は《奈良の素材は磨き方によっては評価される。積極的に誘客事業を図り、一過性でなく1300年祭後も活性化に向け事業を進めていきたい》(奈良日日新聞 5/28付)と語ったが、全く同感である。
1988年のシルク博は、終わってから観光客が激減し、奈良はまだその後遺症に悩まされている。「今からポスト1300年を云々するのは早い」という声があるが、私は決してそう思わない。布石は今から打っておかねばならない。磨きをかけるべき素材は多いのだ。観光地も、宿泊施設も、食材・料理も、交通手段も、PRも、住民のもてなしも…。
http://www.nara-np.co.jp/20090528104356.html
デスティネーションキャンペーン(DC)とは、JR6社と自治体、地元の観光事業者等が共同で実施する大型観光キャンペーンのことだ(デスティネーション[Destination]とは目的地・行き先の意)。1978(昭和53)年11月から、当時の国鉄と和歌山県が共同で実施した「きらめく紀州路」キャンペーンが始まりである。奈良が舞台となるのは、ならシルクロード博直前の1986年(昭和61年)に行われた「あなたとなら・大和路」キャンペーン以来だから、24年ぶりの開催となる。
※祝!奈良デスティネーションキャンペーンが決定(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/1f270e9cb4af759b65ebe05b63c6f8dd
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会場となった奈良県新公会堂(08.5.11の撮影。会議当日はカメラ持ち込み禁止だった)
この日は全国から、旅行エージェントや雑誌・出版関係者など約300人が出席した。第1部は、笑福亭純瓶さんの創作落語「久米仙人」で始まった。久米仙人は、久米寺(橿原市)の開祖ともいわれる。地上に落ちた久米仙人の後日談で、俗世間に3年間暮らし、仙術も衰えた久米仙人が、ひょんなことから腕を見込まれ、天皇に頼まれて仙術を使わねばならないハメになり、ところが…、という噺である。
開会挨拶では《窪田修副知事が「県としては体験型と交流型のツアーで地域の活性化を図っていければと思っている。今年はプレ奈良DCの年だが、観光客の誘致イベントなどをやっていきたい」、JR西日本の佐々木隆之副社長は「広い奈良を訪れる人に楽しんでもらえるように汗をかきたい。JRグループが一体となっておもてなしをしっかり行っていきたい」》(奈良新聞 5/28付)と語った。これは頼もしい。
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平城(なら)遷都祭2008(08.5.3)
続いて平城遷都1300年記念事業協会は、1300年祭の内容を紹介するビデオを放映、そのあと会議資料に基づいて口頭で説明したが、この話がメリハリもなく冗長で、退屈した人も多かったことだろう。ビデオで1300年祭の説明は済んでいるのだから、口頭ではそれ以外の部分についてのみ言及すべきだった。また「PowerPoint」の操作(Enterキーを押すだけ)にわざわざ若い職員を横につけていたが「奈良の幹部職員は、パソコン操作すらできない」と、全国に恥をさらしたようなものだ。
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奈良公園・興福寺境内(5/19撮影。トップ写真とも)
1300年祭のことは(すべて協会のHPに載っていることであるし)ビデオだけで済まし、残り時間はJR沿線の観光協会の人たちが地元の見どころをプレゼンする、というような工夫がほしかった。話に出てきた「桜井線 旅万葉」や「駅からはじまるエコ散策」という企画も面白いので、この辺りをもっと詳しく説明すべきだった。
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奈良公園・興福寺境内。「お~い、ジッとしてろよ」(08.5.21)
なお奈良DCの「プレキャンペーン」は、すでに4月から始まっている。JR西日本のHPによると《JR西日本奈良県と共同で開催する平成22年4月から6月の「奈良デスティネーションキャンペーン」に先立ち、平成21年4月1日から6月30日までの3ヶ月にわたり「奈良デスティネーションキャンペーン プレキャンペーン」を開催いたします》。
※JR西日本のプレスリリース(同社のホームページ)
http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174143_799.html
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09年誕生の子鹿第1号(女の子)。とてもカワイイ(「奈良の鹿愛護会」のHPより拝借)
※動画はこちら(奈良テレビ放送のニュース:YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=GYWeCBsGbrU
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(同上)
《プレキャンペーン期間中には、今年が成立1250年を迎える「万葉集」ゆかりの地が数多く存する桜井線沿線で特別イベントを企画するとともに、奈良・桜井エリアへのおでかけにおトクな商品をご用意しています。この春は、万葉の魅力あふれる奈良・桜井エリアにぜひ、おでかけください》。
※県政公開ニュース(奈良県のホームページ)
http://www.pref.nara.jp/koho/hodo/h21/html/021250-090407122825_M16023.html
今年が「万葉集成立1250年」にあたることは、私もあちこちでPRしているが、これを観光キャンペーンに取り入れたのはJR西日本が初めてだろう、有り難いことである。
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奈良市・東向(ひがしむき)商店街(08.5.21)
第2部は(私は出席していないが)、「蛍の会」から地元食材を使った料理が振る舞われたそうだ。蛍の会とは、配付資料によると《奈良県内で飲食業を商う若手を中心とした料理人とその各店に集う老若男女により、思いを同じくして設立しました。奈良の食文化の更なる発展を通じて、地域文化の継承と振興、商業者の資質向上と消費の発展、奈良に住む方々の地域産業に対する思いの高揚を目的としています》とある。
※蛍の会の公式ブログ
http://yume824.exblog.jp/i0/
なお、名前の由来は《一人ひとりの力は小さくても、ホタルのようにたくさん集まれば、明るくともせるはず》(読売新聞「ひと 大和」)ということなのだそうだ。
※蛍の会を紹介する読売新聞「ひと 大和」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/kikaku/038/41.htm
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当日のレセプション会場風景(画像は関係者から拝借)
蛍の会関係者の方から、この日の料理の資料を見せていただいたが、今話題になっているロカシカカフェ(をかし東城:奈良市川之上突抜町18)の「春鹿の酒粕入り レアチーズタルト」や、「手作りハム・ソーセージ工房 ぱあく」(五條市小和719)の黒豚を使った酒楽(奈良市中院町22-4)の「黒豚ばぁくの炙り角煮」、paso A paso(パッソ ア パッソ:奈良市大宮町6-2-14)の「黒豚ばぁくの生ハム」、バーテンダー協会の「奈良の八重桜」(今西清兵衛商店)をキリンレモンで割ったロングカクテルなど、美味しそうなメニューが並んでいた(キリンビバレッジは奈良DCの協賛企業)。
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今西清兵衛商店の「奈良の八重桜」とカクテル(同上)
メニューのなかに、RAHOTSU(ラホツ 奈良市高畑町1073-2)の「三輪素麺と2種のタイカレー」があって驚いた。カレーそうめんは、私が東京で発見したメニューである。あの麺は「フーティウ」(米粉で作るベトナムの麺)だったが、ここでは本物の三輪そうめんにタイカレーをかけたようである。
※カレーきしめん vs カレーそうめん(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f356c7d9710cdacfdb4ea4b7dbbde360
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ベトナム料理「ミュン 本郷店」のカレーそうめん(600円 東京都文京区 08.9.11撮影)
レセプションには参加していないので、味は推測するほかないが、これまでこの酒の催しでは、柿の葉寿司と三輪そうめんをずらっと並べ、県の職員がぎこちなく応対する、というパターンだった。今回、そのスタイルを改めたということは、それだけでも評価に値する。今後も機会をとらえて「奈良にうまいものあり」を大いにPRしていただきたいものである。
会議の冒頭で窪田副知事は《奈良の素材は磨き方によっては評価される。積極的に誘客事業を図り、一過性でなく1300年祭後も活性化に向け事業を進めていきたい》(奈良日日新聞 5/28付)と語ったが、全く同感である。
1988年のシルク博は、終わってから観光客が激減し、奈良はまだその後遺症に悩まされている。「今からポスト1300年を云々するのは早い」という声があるが、私は決してそう思わない。布石は今から打っておかねばならない。磨きをかけるべき素材は多いのだ。観光地も、宿泊施設も、食材・料理も、交通手段も、PRも、住民のもてなしも…。