星乃勝さんのHP「スマkan」(2020.6.25付)で「コロナ禍があっても、日本の観光業の未来が明るいワケ!」という「ダイヤモンドオンライン」(6/4付)の記事を読んだ。「自然体験ツアー」で海外からの観光客を呼び込もうという趣旨で、やや楽観的過ぎるような気もするが、悲観論一色のなかにあって何だか元気が出る記事だった。全文は上記リンク先で読んでいただきたいが、概要を以下に紹介しておく。
※トップ写真は奈良公園(2006.6.27 撮影)
世界観光機関によれば、世界の国際観光客到着数も国際観光収入この25年間、ずっと右肩上がりで増え続けている。
観光は、世界的な経済危機や国際的な紛争、あるいは膨大な数の人が犠牲になる未曾有の災害などが発生しても、それらの影響をほとんど受けることなく、安定的に成長できる産業ということだ。
なぜこうも危機に強いのかというと、客の激減も早いが「戻り」も早いからだ。
製造業などの場合、人件費や競争力で負けたり、貿易摩擦が起きたりといった要因でなかなか回復できない場合があるが、観光はシンプルなサービス業であるがゆえに、観光資源に恵まれていれば客は必ず戻ってくるので、産業としての立ち直りが早いのである。
トリップアドバイザーが日本を含む6カ国を対象にした調査で、「外出規制で今すぐには行けなくても、私にとって旅行は重要なものだ」と考える人は、日本、オーストラリア、シンガポール、イギリスでは63~64%、アメリカではなんと71%に及んでいる。
新型コロナは怖い。が、人はウイルスに感染しないことを目的に生きているわけではない。「人生を謳歌する」ということなしに、生きていけない生き物なのだ。
先ほどのトリップアドバイザーの調査で「旅行先を決める上で今後重要になることは?」に対して、ほぼすべての国で、新型コロナの感染者数が減少していることや、公衆衛生、マスク着用などの規制が行われていることを挙げた人の割合が多くなっている。
日本は感染爆発もしていないし、死者も欧米に比べるとケタ違いに少ない。マスクはもはやマナーとして定着しているし、道路、公共施設、飲食店の清潔さは世界トップレベルだ。「ウイルスが心配だけど海外旅行もしたい」というニーズにハマる国なのだ。
中国で「新型コロナウイルス肺炎の終息後に行きたい国」を尋ねたところ、「日本」と答えた人の割合が44%と、2位の「タイ」(12%)を大きく引き離してトップになっている。
観光庁の『訪日外国人の消費動向 2019年年次報告書』によれば、「訪日前に期待していたこと」で「自然体験ツアー・農漁村体験」(複数回答)と回答した外国人はわずか6.3%、多くの外国人にとって日本観光は「日本食を食べること」(69.7%)や「ショッピング」(52.6%)というイメージだ。
観光庁が20の国籍・地域の人々を対象に実施したウェブアンケートでは、海外旅行の際に「自然に由来する体験」を求める人が多い。
6月1日、JTBとJTB総合研究所が発表した『新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)』によれば、「すぐ行きたい」旅行についての質問で、「知人訪問 (24.4%)」の次に多かったのが、「自然が多い」(19.3%)だった。
この調査を裏付けるのが、キャンプ場の盛況ぶりだ。実際、首都圏の有名キャンプ場は、6月の週末はすべて予約でいっぱい。7月も非常に混み合っているという。
各地で「自然体験ツアー」の整備も進んでいる。大自然の中でのトレッキングや、星空を見るツアー、さらにラフティングやカヌーなどが、これまで以上に人気になっていくはずだ。
利用環境が向上すれば、外国人観光客の耳にも届く。中国人観光客にも「モノ消費からコト消費へ」というトレンドがあり、「日本観光はコロナ感染の恐れもなく、雄大な自然を満喫できるツアーが大人気」という流れがくる可能性もある。
「エコツーリズム」という概念があるように、本来は海外のナショナルパークのように、観光客から高い入場料をとって、そのお金を自然保護の整備費や人件費にまわさなくてはいけない。
箱根湯本芸能組合は、世界初の「芸者とオンライン飲み会」を開催した。リモートで芸者遊びなどを英語でレクチャーして、参加した外国人は大感激だったという。素晴らしい日本の観光PRだ。
この取り組みは、コロナ禍にならなかったらなかなか実現しなかったのではないか。追い詰められて初めてひねり出された起死回生のアイデアなのだ。
観光業の皆さんにとって、今は非常に苦しい時期だと思う。仕事を失ってしまった人たちも多くいらっしゃるだろう。しかし、皆さんを必要としている人たちがこの世界にはたくさんいる。どうか希望を捨てず、前向きに過ごしていただきたい。
※トップ写真は奈良公園(2006.6.27 撮影)
世界観光機関によれば、世界の国際観光客到着数も国際観光収入この25年間、ずっと右肩上がりで増え続けている。
観光は、世界的な経済危機や国際的な紛争、あるいは膨大な数の人が犠牲になる未曾有の災害などが発生しても、それらの影響をほとんど受けることなく、安定的に成長できる産業ということだ。
なぜこうも危機に強いのかというと、客の激減も早いが「戻り」も早いからだ。
製造業などの場合、人件費や競争力で負けたり、貿易摩擦が起きたりといった要因でなかなか回復できない場合があるが、観光はシンプルなサービス業であるがゆえに、観光資源に恵まれていれば客は必ず戻ってくるので、産業としての立ち直りが早いのである。
トリップアドバイザーが日本を含む6カ国を対象にした調査で、「外出規制で今すぐには行けなくても、私にとって旅行は重要なものだ」と考える人は、日本、オーストラリア、シンガポール、イギリスでは63~64%、アメリカではなんと71%に及んでいる。
新型コロナは怖い。が、人はウイルスに感染しないことを目的に生きているわけではない。「人生を謳歌する」ということなしに、生きていけない生き物なのだ。
先ほどのトリップアドバイザーの調査で「旅行先を決める上で今後重要になることは?」に対して、ほぼすべての国で、新型コロナの感染者数が減少していることや、公衆衛生、マスク着用などの規制が行われていることを挙げた人の割合が多くなっている。
日本は感染爆発もしていないし、死者も欧米に比べるとケタ違いに少ない。マスクはもはやマナーとして定着しているし、道路、公共施設、飲食店の清潔さは世界トップレベルだ。「ウイルスが心配だけど海外旅行もしたい」というニーズにハマる国なのだ。
中国で「新型コロナウイルス肺炎の終息後に行きたい国」を尋ねたところ、「日本」と答えた人の割合が44%と、2位の「タイ」(12%)を大きく引き離してトップになっている。
観光庁の『訪日外国人の消費動向 2019年年次報告書』によれば、「訪日前に期待していたこと」で「自然体験ツアー・農漁村体験」(複数回答)と回答した外国人はわずか6.3%、多くの外国人にとって日本観光は「日本食を食べること」(69.7%)や「ショッピング」(52.6%)というイメージだ。
観光庁が20の国籍・地域の人々を対象に実施したウェブアンケートでは、海外旅行の際に「自然に由来する体験」を求める人が多い。
6月1日、JTBとJTB総合研究所が発表した『新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)』によれば、「すぐ行きたい」旅行についての質問で、「知人訪問 (24.4%)」の次に多かったのが、「自然が多い」(19.3%)だった。
この調査を裏付けるのが、キャンプ場の盛況ぶりだ。実際、首都圏の有名キャンプ場は、6月の週末はすべて予約でいっぱい。7月も非常に混み合っているという。
各地で「自然体験ツアー」の整備も進んでいる。大自然の中でのトレッキングや、星空を見るツアー、さらにラフティングやカヌーなどが、これまで以上に人気になっていくはずだ。
利用環境が向上すれば、外国人観光客の耳にも届く。中国人観光客にも「モノ消費からコト消費へ」というトレンドがあり、「日本観光はコロナ感染の恐れもなく、雄大な自然を満喫できるツアーが大人気」という流れがくる可能性もある。
「エコツーリズム」という概念があるように、本来は海外のナショナルパークのように、観光客から高い入場料をとって、そのお金を自然保護の整備費や人件費にまわさなくてはいけない。
箱根湯本芸能組合は、世界初の「芸者とオンライン飲み会」を開催した。リモートで芸者遊びなどを英語でレクチャーして、参加した外国人は大感激だったという。素晴らしい日本の観光PRだ。
この取り組みは、コロナ禍にならなかったらなかなか実現しなかったのではないか。追い詰められて初めてひねり出された起死回生のアイデアなのだ。
観光業の皆さんにとって、今は非常に苦しい時期だと思う。仕事を失ってしまった人たちも多くいらっしゃるだろう。しかし、皆さんを必要としている人たちがこの世界にはたくさんいる。どうか希望を捨てず、前向きに過ごしていただきたい。
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