コロナ騒動がいまだ終息しない中にあって、奈良市では国内需要を期待し、ホテルの開業が相次いでいる。産経WEST(2020.6.26)が「インバウンド頼みから国内需要に照準 ホテル開業ラッシュの奈良」の見出しで、こんなまとめ記事を配信していた。全文を紹介すると、
多くの世界遺産に恵まれ、ここ近年は訪日外国人客(インバウンド)が増加していた奈良では、インバウンド需要を見込んだホテルの開業やリニューアルが今年、相次いでいる。ところが、新型コロナウイルス感染拡大は、思い描いた成長戦略に大きな影を落とした。ホテルや観光客誘致に力を入れてきた自治体は、地元客や国内旅行者の需要を掘り起こす戦略で、難局を乗り越えようとしている。(桑島浩任)
県民需要を掘り起こし
興福寺から徒歩数分の好立地にある「ホテル尾花」(奈良市高畑町)は、先月まで「ホテルサンルート奈良」として親しまれたが、今月、昭和55年に閉館した前身の映画館「尾花劇場」の名前を復活させ、一部リニューアルを行った。平日の昼間にロビーをのぞくと、友人と談笑したり、のんびりと読書にふけったりしている年配の男女の姿が目立つ。多くは奈良市在住の地元住民という。
同ホテルは今月から、県民限定に「顔見世プラン」を始めた。シングル朝食付きで1泊4千円という破格の料金。新型コロナ下であえてもうけを度外視した新プランだ。中野聖子社長は「どうせ商売にならないなら、普段はできないことをやろうと考えた」と話す。これまでの宿泊客は県外からが中心。外国人は2割程度ながら、「インバウンドはまだまだ伸びるということで、県内のホテル全体が外国人向けにシフトする流れだった」と明かす。
ところが、新型コロナで状況は一変。そこで国内に目を向け、県民需要を掘り起こそうと考えたわけだ。「ホテルで過ごすだけの非日常を楽しんでもらう。新しい価値を提示していかないといけない」。顔見世プランは10月末まで継続する予定で、会議室の大スクリーンで映画観賞が楽しめるプランも検討している。
インバウンド需要消滅
奈良県を訪れた外国人観光客数はここ数年で目覚ましい伸びを見せた。県の推計によると、平成24年はわずか28万5千人だったが30年には258万2千人となり、6年で9倍以上に急増した。宿泊者数も24年の10万4300人から令和元年の46万830人と約4・4倍に増加した。
この「インバウンドバブル」をあてこんで、今年、奈良市ではダイワロイヤルホテルの「D-PREMIUM奈良」が3月にオープン。6月には奈良公園内に隈研吾氏がデザインした高級リゾートホテル「ふふ奈良」も開業した。7月22日には米高級ホテル「JWマリオット・ホテル奈良」(いずれも奈良市)もオープンする予定だ。しかし、新型コロナの感染拡大でインバウンド需要は消滅。訪日外国人客数は4月が2900人、5月は1700人で、ともに前年同月比99・9%減という記録的な下落となっている。
創業111年の伝統を誇り、古都の迎賓館と呼ばれる「奈良ホテル」(同)も平成29年に始めた約3年に及ぶ耐震補強工事が今春、完了したばかり。いよいよ本格稼働という矢先のコロナ禍に、藤田昌宏営業企画課長は「これまでの常識とは異なるコロナ時代の新たなホテルサービスが必要になる」と話す。フロントのスタッフがアクリル板ごしにルームキーをトレイに載せて宿泊客に差し出し、館内のサービス案内が記載された紙を渡す。要望があれば客室への案内すら控える。老舗ホテルの手厚いサービスのイメージとは異なるが、いずれも感染に不安を感じる宿泊客への配慮という。
一方で、値下げによる集客策は実施しない。国内旅行代金の2分の1相当を支援する国の「Go To キャンペーン」に加え、奈良県も独自に県民が県内の宿泊施設を利用すると最大7割引になるクーポンの発行を予定しており、「国内旅行の需要はいずれ爆発する」と期待を込める。
旅行の楽しみ提供
5月にプレオープンした「ANDO HOTEL 奈良若草山」(同市川上町)は昭和39年創業の「遊景の宿 平城」をリノベーションした。若草山の中腹に位置し、奈良の街並みとともに東大寺大仏殿や興福寺五重塔が一望できる。
コロナ禍で外出自粛が続く中、出ばなをくじかれた格好となったが、売り上げは当初予定の4割減にとどまっており、8~9割減も珍しくない他のホテルに比べれば影響は控えめだ。「インバウンドを意識しすぎず、若草山のポテンシャルを生かした日本人に愛されるホテルを目指す」(オーナーの出口雅也さん)としたことが功を奏した。
夜景やホタルを観賞する無料ツアーに加え、春日山原始林の散策や山頂での早朝ヨガなどの有料プランも多数取りそろえる。出口さんは「旅行でのアクティビティをトータルで提供することが、これからのホテルには必要」と力を込める。
奈良県も補正予算で国内向けのプロモーションや商品開発に1億円を計上するなど、今後の感染状況を見極めながら近畿、西日本、国内と徐々に誘客のターゲットを広げていく考え。県の担当者は「奈良の魅力を再確認してもらって観光につなげたい」としている。
訪日外国人観光客数が6年で9倍以上、宿泊客数も約4.4倍。それが今春の訪日外国人観光客数は、前年同月比△99・9%!このような数字を突きつけられると、改めて「インバウンドバブルの崩壊」のすさまじさを感じる。
近鉄奈良駅前の東向商店街では、早々と「ダイコクドラッグ」が訪日外国人観光客の減少を理由に閉店(閉業)した。駅前の「やまと旬菜 三笠」(奈良商工会議所地下)も閉店したし、「四季旬菜 大和路」(奈良ラインハウスビル5階)も今月末で閉店する予定だ。宿泊業も飲食業も小売業も、インバウンドに頼らない生き残り戦略の構築を迫られている。
多くの世界遺産に恵まれ、ここ近年は訪日外国人客(インバウンド)が増加していた奈良では、インバウンド需要を見込んだホテルの開業やリニューアルが今年、相次いでいる。ところが、新型コロナウイルス感染拡大は、思い描いた成長戦略に大きな影を落とした。ホテルや観光客誘致に力を入れてきた自治体は、地元客や国内旅行者の需要を掘り起こす戦略で、難局を乗り越えようとしている。(桑島浩任)
県民需要を掘り起こし
興福寺から徒歩数分の好立地にある「ホテル尾花」(奈良市高畑町)は、先月まで「ホテルサンルート奈良」として親しまれたが、今月、昭和55年に閉館した前身の映画館「尾花劇場」の名前を復活させ、一部リニューアルを行った。平日の昼間にロビーをのぞくと、友人と談笑したり、のんびりと読書にふけったりしている年配の男女の姿が目立つ。多くは奈良市在住の地元住民という。
同ホテルは今月から、県民限定に「顔見世プラン」を始めた。シングル朝食付きで1泊4千円という破格の料金。新型コロナ下であえてもうけを度外視した新プランだ。中野聖子社長は「どうせ商売にならないなら、普段はできないことをやろうと考えた」と話す。これまでの宿泊客は県外からが中心。外国人は2割程度ながら、「インバウンドはまだまだ伸びるということで、県内のホテル全体が外国人向けにシフトする流れだった」と明かす。
ところが、新型コロナで状況は一変。そこで国内に目を向け、県民需要を掘り起こそうと考えたわけだ。「ホテルで過ごすだけの非日常を楽しんでもらう。新しい価値を提示していかないといけない」。顔見世プランは10月末まで継続する予定で、会議室の大スクリーンで映画観賞が楽しめるプランも検討している。
インバウンド需要消滅
奈良県を訪れた外国人観光客数はここ数年で目覚ましい伸びを見せた。県の推計によると、平成24年はわずか28万5千人だったが30年には258万2千人となり、6年で9倍以上に急増した。宿泊者数も24年の10万4300人から令和元年の46万830人と約4・4倍に増加した。
この「インバウンドバブル」をあてこんで、今年、奈良市ではダイワロイヤルホテルの「D-PREMIUM奈良」が3月にオープン。6月には奈良公園内に隈研吾氏がデザインした高級リゾートホテル「ふふ奈良」も開業した。7月22日には米高級ホテル「JWマリオット・ホテル奈良」(いずれも奈良市)もオープンする予定だ。しかし、新型コロナの感染拡大でインバウンド需要は消滅。訪日外国人客数は4月が2900人、5月は1700人で、ともに前年同月比99・9%減という記録的な下落となっている。
創業111年の伝統を誇り、古都の迎賓館と呼ばれる「奈良ホテル」(同)も平成29年に始めた約3年に及ぶ耐震補強工事が今春、完了したばかり。いよいよ本格稼働という矢先のコロナ禍に、藤田昌宏営業企画課長は「これまでの常識とは異なるコロナ時代の新たなホテルサービスが必要になる」と話す。フロントのスタッフがアクリル板ごしにルームキーをトレイに載せて宿泊客に差し出し、館内のサービス案内が記載された紙を渡す。要望があれば客室への案内すら控える。老舗ホテルの手厚いサービスのイメージとは異なるが、いずれも感染に不安を感じる宿泊客への配慮という。
一方で、値下げによる集客策は実施しない。国内旅行代金の2分の1相当を支援する国の「Go To キャンペーン」に加え、奈良県も独自に県民が県内の宿泊施設を利用すると最大7割引になるクーポンの発行を予定しており、「国内旅行の需要はいずれ爆発する」と期待を込める。
旅行の楽しみ提供
5月にプレオープンした「ANDO HOTEL 奈良若草山」(同市川上町)は昭和39年創業の「遊景の宿 平城」をリノベーションした。若草山の中腹に位置し、奈良の街並みとともに東大寺大仏殿や興福寺五重塔が一望できる。
コロナ禍で外出自粛が続く中、出ばなをくじかれた格好となったが、売り上げは当初予定の4割減にとどまっており、8~9割減も珍しくない他のホテルに比べれば影響は控えめだ。「インバウンドを意識しすぎず、若草山のポテンシャルを生かした日本人に愛されるホテルを目指す」(オーナーの出口雅也さん)としたことが功を奏した。
夜景やホタルを観賞する無料ツアーに加え、春日山原始林の散策や山頂での早朝ヨガなどの有料プランも多数取りそろえる。出口さんは「旅行でのアクティビティをトータルで提供することが、これからのホテルには必要」と力を込める。
奈良県も補正予算で国内向けのプロモーションや商品開発に1億円を計上するなど、今後の感染状況を見極めながら近畿、西日本、国内と徐々に誘客のターゲットを広げていく考え。県の担当者は「奈良の魅力を再確認してもらって観光につなげたい」としている。
訪日外国人観光客数が6年で9倍以上、宿泊客数も約4.4倍。それが今春の訪日外国人観光客数は、前年同月比△99・9%!このような数字を突きつけられると、改めて「インバウンドバブルの崩壊」のすさまじさを感じる。
近鉄奈良駅前の東向商店街では、早々と「ダイコクドラッグ」が訪日外国人観光客の減少を理由に閉店(閉業)した。駅前の「やまと旬菜 三笠」(奈良商工会議所地下)も閉店したし、「四季旬菜 大和路」(奈良ラインハウスビル5階)も今月末で閉店する予定だ。宿泊業も飲食業も小売業も、インバウンドに頼らない生き残り戦略の構築を迫られている。
荒井知事の発言や無いですが、「観光業は、いい時も有れば悪い時も有るから、それを織り込み済みでないと」って事でしたが、別に、観光業に限らず、そうで無いのは、公務員位やと思います。ただ、需要が有れば、それに対して、商機が出るのは当たり前。更に、大阪府下の地価高騰で、周辺部の安い物件に目が行ったった事だけですね。だからこそ、奈良市内に、これだけホテルが増えた訳です。更に、コロナなど、想定外でしたから。
想定をしていたなら、ホテル新進は有り得ません。その証拠に、全国でホテルの廃業・倒産が多発しています。一番の最右翼は、ファーストキャビンだと思いますが、ここは、JR西日本と共同出資をして、新装なった、梅小路機関車館で、宿泊施設をオペレーションしていましたが、倒産と同時に、営業を止めて、共同出資の会社は、解散になりました。
国内需要の喚起、も、言われていますが、若し、それが万全なら、インバウント前夜でも、国内旅行は有った訳で、それでも、全国の宿泊施設は、経営難になっていた訳です。少子高齢化が主原因ですが、この状態は、変わった訳では有りません。それで、国内旅行と言っても、なかなか難しいのでは無いでしょうかねぇ。
尾花の例も挙げられては居ますが、県民に4000円で出して儲かるのなら、普段から、この料金にすれば、もっと儲かります。空いているから、安くして・・ってのなら、採算度外視と云う訳で、意味が有りません。いくらで販売しようが、それはそこの施設の問題なのですが、単に安いだけや、周囲の、今まで言われている観光コースでは、国内旅行の喚起は出来ないと思います。
原生林の散策は、滝坂道やドライブウェイを通るのなら、旧来と変わりませんし、また、滝坂は、ヨーロッパの外国人には、非常に評価の高かった所です。しかし、日本人って、こういう場所へは、あまり行く事は無いですし、また、広報もあまりされていません。だから、外国人頼みになつていたのが、このインバウントバブルでは無かったのではないでしょうか。
ただ、今から建築・・、となる様な所なら、止まるかも知れませんし、また、計画変更も有り得ると思います。宿泊施設は、装置産業ですから、計画して、着工すれば、止めても意味が無いですからねぇ。ただ、これも、薬が出来て、インフルエンザみたいになれば、皆さんが安心しますから、そこまでのキャッシュフローが有るか無いかにかかっていると思います。続かなかったら、敗退して頂くだけの事になるのでしょうね。そういう資産は安いですから、外資が狙って来る訳で、既にもう、来ていますよ。
> 全国でホテルの廃業・倒産が多発しています。
> 一番の最右翼は、ファーストキャビンだと思います
東京のファーストキャビンに泊まったことがありますが、基本的に個室ではありませんので、コロナ禍のような時は避けられるでしょうね。
> 少子高齢化が主原因ですが、この状態は、変わった訳では有りません。
> それで、国内旅行と言っても、なかなか難しいのでは無いでしょうかねぇ。
物見遊山ではない国内観光の提案をしなければ、来てくれないでしょうね。
> 滝坂は、ヨーロッパの外国人には、非常に評価の高かった
> 所です。しかし、日本人って、こういう場所へは、あまり
> 行く事は無いですし、また、広報もあまりされていません。
なるほど、ヨーロッパ人が滝坂の道にお越しでしたか、これは存じませんでした。
> 薬が出来て、インフルエンザみたいになれば、皆さんが安心しますから、
> そこまでのキャッシュフローが有るか無いかにかかっていると思います。
ワクチン開発も進んでいるようですが、そこまで資金が持つか、体力勝負になりますね。
> 続かなかったら、敗退して頂くだけの事になるのでしょうね。そういう
> 資産は安いですから、外資が狙って来る訳で、既にもう、来ていますよ。
もう来ていますか! 中国資本が県内のある「政府登録国際観光旅館」を手に入れたという話は聞きましたが、何だか嫌な話ですね。