長年、奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」で金曜日のレギュラーをお務めになった講談師の旭堂南青(きょくどう・なんせい)さんが、南都銀行の社内報「なんと」第285号(2018年夏号)の巻頭言を書いてくださった。
※トップ写真は奈良テレビの「ゆうドキッ!」、奈良検定指南役の私も生出演(3/23オンエア)
南青さんは今年の3月、奈良検定の最上級資格である「奈良まほろばソムリエ」に合格、6月には奈良市観光大使に就任された。また11月10日には真打に昇進され「旭堂南龍」を襲名される。上方の講談界で真打ち誕生は27年ぶりの快挙だそうだ。今や時代の寵児となりつつある南青さん、どんな文章を認(したた)められたか、以下にその全文を紹介する。
講談で奈良の魅力発信 講談師 旭堂南青さん
講談会の打ち上げの酒席で私のことを知るご贔屓(ひいき)が「聞きましたで、 南青さん!この度は奈良ソムリエ合格おめでとうございます」とお祝い の言葉と同時に『ワイン』を贈って いただくことが度々ありました。その都度「決してワインのソムリエで はなく、奈良のまほろばソムリエです」と説明するのは難儀しましたが(笑)
発端は奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」の番組内で始まった「奈良検定を制覇せよ」という企画から2級・1級・ソムリエと3年を費やし見事獲得。いよいよこれから番組で唯一無二の奈良まほろばソムリエ講談師として大活躍を一心に期待された矢先、番組を卒業となりました(涙)
そしてこの度は関係者の後押しもあり、講談師かつ奈良まほろばソムリエで奈良市観光大使となった不肖・旭堂南青が「聴く特産物」として講談で奈良の魅力を発信するために 日々勉強中です。
奈良で初めて講談会をさせていただいたときのことは今でも忘れませ ん。あの当時は駆け出しでしたから、 30人も入ったら一杯になる会場でした。開演前に楽屋へお客さまが おいでになって「南青さん、私は昔から講談が好きで、講談のことやったら大抵答えられます。そやから何 か分からないことがあったら、私に何でも聞いてください」。
そこへお客さまの携帯電話が鳴りまして 「ちょっと、電話に出てもいいですか?(ピッ)はい。もしもし。あぁ 御無沙汰してましたな。え?今? 私?外出中でして。ええ。講談会に来てるんです。講談会に!え?いや いや『住宅公団の展示会』やなくて 講談です。歴史を語って…三味線入る?それは『浪曲』ですわ。どう言うたら分かるかな。ほれ、右向いて 左向いて時折ペシペシと打つ。あぁもう簡単に言うたら…『落語のしょうもないヤツ』ですわ。ええ?分かってくれた!そやから今日はあ きませんねん。ほなまた。(ピッ)まぁとにかく今日は楽しみにしてます。その証拠に一番前の席を確保してますねん」と楽屋から出て行かれました。
いろいろと気になる箇所がありましたけれども。いよいよ本番となり高座に上がれば、確かに先ほどのお客さまが一番前で座っていますが既に「熟睡」されていました。何とか聴いていただこうと工夫しましたが、起きる気配はありません。そこで、その方に聴いていただくのは諦めて、たっぷり講談を申し上げた一時間後、「これにて御物語、読み終わりで御座います」と同時に会場中から万雷の拍手です。その音で一番前のお客さまが「目覚められた」後に 再び楽屋に来られて「南青さん、夢のようでした」(寝てたからや!)…昨日のことのように思い出しま す。
講談とは分かりやすく申しますと、歴史的な人物・出来事を事実に基づき、面白おかしく時折「嘘」を 織り交ぜながら物語る、日本が誇る伝統芸の一つです。奈良の土地には 講談の根本である歴史が莫大に埋蔵されています。それ故、奈良に因(ちな)んだ古典講談はもちろんのこと、創作講談も可能性は無限大です。
これからの展望は、奈良観光をされる方に、まずは私が「講談師」として、その土地の歴史を面白おかしく物語り、次に「奈良まほろばソムリエ」として案内し、締めくくりは「奈良市観光大使」として当日の宿泊施設 まで責任をもってお送りする。観光客の皆さまには奈良の自然や歴史、料理や温泉などを五感で堪能していただける企画を実現できるように奔走しています。
ちゃんと「笑い」の入った軽妙な文章である。南青さんはNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」にも入会してくださった。ガイドグループに所属し、今は観光ガイドの修業中である。日本の伝統芸能である講談を語り笑いを取り、奈良まほろばソムリエとして歴史を語りガイドし、奈良市観光大使としておもてなしをする、これは素晴らしい「観光エキスパート」の誕生である。
南青さん、貴重な観光エキスパートとして、これからもこの奈良を大いに盛り上げてください!
※トップ写真は奈良テレビの「ゆうドキッ!」、奈良検定指南役の私も生出演(3/23オンエア)
南青さんは今年の3月、奈良検定の最上級資格である「奈良まほろばソムリエ」に合格、6月には奈良市観光大使に就任された。また11月10日には真打に昇進され「旭堂南龍」を襲名される。上方の講談界で真打ち誕生は27年ぶりの快挙だそうだ。今や時代の寵児となりつつある南青さん、どんな文章を認(したた)められたか、以下にその全文を紹介する。
講談で奈良の魅力発信 講談師 旭堂南青さん
講談会の打ち上げの酒席で私のことを知るご贔屓(ひいき)が「聞きましたで、 南青さん!この度は奈良ソムリエ合格おめでとうございます」とお祝い の言葉と同時に『ワイン』を贈って いただくことが度々ありました。その都度「決してワインのソムリエで はなく、奈良のまほろばソムリエです」と説明するのは難儀しましたが(笑)
発端は奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」の番組内で始まった「奈良検定を制覇せよ」という企画から2級・1級・ソムリエと3年を費やし見事獲得。いよいよこれから番組で唯一無二の奈良まほろばソムリエ講談師として大活躍を一心に期待された矢先、番組を卒業となりました(涙)
そしてこの度は関係者の後押しもあり、講談師かつ奈良まほろばソムリエで奈良市観光大使となった不肖・旭堂南青が「聴く特産物」として講談で奈良の魅力を発信するために 日々勉強中です。
奈良で初めて講談会をさせていただいたときのことは今でも忘れませ ん。あの当時は駆け出しでしたから、 30人も入ったら一杯になる会場でした。開演前に楽屋へお客さまが おいでになって「南青さん、私は昔から講談が好きで、講談のことやったら大抵答えられます。そやから何 か分からないことがあったら、私に何でも聞いてください」。
そこへお客さまの携帯電話が鳴りまして 「ちょっと、電話に出てもいいですか?(ピッ)はい。もしもし。あぁ 御無沙汰してましたな。え?今? 私?外出中でして。ええ。講談会に来てるんです。講談会に!え?いや いや『住宅公団の展示会』やなくて 講談です。歴史を語って…三味線入る?それは『浪曲』ですわ。どう言うたら分かるかな。ほれ、右向いて 左向いて時折ペシペシと打つ。あぁもう簡単に言うたら…『落語のしょうもないヤツ』ですわ。ええ?分かってくれた!そやから今日はあ きませんねん。ほなまた。(ピッ)まぁとにかく今日は楽しみにしてます。その証拠に一番前の席を確保してますねん」と楽屋から出て行かれました。
いろいろと気になる箇所がありましたけれども。いよいよ本番となり高座に上がれば、確かに先ほどのお客さまが一番前で座っていますが既に「熟睡」されていました。何とか聴いていただこうと工夫しましたが、起きる気配はありません。そこで、その方に聴いていただくのは諦めて、たっぷり講談を申し上げた一時間後、「これにて御物語、読み終わりで御座います」と同時に会場中から万雷の拍手です。その音で一番前のお客さまが「目覚められた」後に 再び楽屋に来られて「南青さん、夢のようでした」(寝てたからや!)…昨日のことのように思い出しま す。
講談とは分かりやすく申しますと、歴史的な人物・出来事を事実に基づき、面白おかしく時折「嘘」を 織り交ぜながら物語る、日本が誇る伝統芸の一つです。奈良の土地には 講談の根本である歴史が莫大に埋蔵されています。それ故、奈良に因(ちな)んだ古典講談はもちろんのこと、創作講談も可能性は無限大です。
これからの展望は、奈良観光をされる方に、まずは私が「講談師」として、その土地の歴史を面白おかしく物語り、次に「奈良まほろばソムリエ」として案内し、締めくくりは「奈良市観光大使」として当日の宿泊施設 まで責任をもってお送りする。観光客の皆さまには奈良の自然や歴史、料理や温泉などを五感で堪能していただける企画を実現できるように奔走しています。
ちゃんと「笑い」の入った軽妙な文章である。南青さんはNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」にも入会してくださった。ガイドグループに所属し、今は観光ガイドの修業中である。日本の伝統芸能である講談を語り笑いを取り、奈良まほろばソムリエとして歴史を語りガイドし、奈良市観光大使としておもてなしをする、これは素晴らしい「観光エキスパート」の誕生である。
南青さん、貴重な観光エキスパートとして、これからもこの奈良を大いに盛り上げてください!
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