tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

「宗教ツーリズム」のトレンドに乗り遅れるな/明風清音(1)

2018年01月25日 | 明風清音(奈良新聞)
本年(2018年)1月から奈良新聞の随筆コーナー「明風清音」欄に毎月1回、主に「奈良の観光」をテーマに執筆させていただくことになった。同欄は毎週水曜日の掲載で、今も渡辺誠弥(のぶや)さんや梁瀬健さんが健筆をふるっておられる。私の担当は第3水曜日である(1月はお正月編成のため第4水曜日に変更された)。昨日(1/24)私の初回分の原稿が掲載されたので、以下に全文を紹介しておく。
※トップ写真は第18番恩山寺(2010年秋の四国八十八ヶ所巡礼で撮影)

宗教ツーリズムの波に
あけましておめでとうございます。新年から毎月1回(通常月は第3水曜日)、奈良の観光にまつわる雑感を本欄に綴ってまいります。
  
今年も奈良県は、たくさんの初詣客をお迎えした。観光統計では初詣客も「観光入込客」としてカウントするので、本県の1月の入込客数は大きく膨らむ(12月の2.6倍程度)。初詣客を入込客として数えるのは構わないが、それなら天理教の「月次祭(つきなみさい)」「こどもおぢばがえり」の参拝者や詰所の宿泊者もカウントすべきと思うが、私の知る限りそのような動きはない。考えてみれば、お盆の帰省や親族の法事も、入込客に含めて良さそうだ。

近年、「宗教ツーリズム」がいわれる。宗教的理由を動機とした観光ということで、典型的なのが「巡礼」だ。世界的に有名なのはサウジアラビアのメッカ巡礼、最近ではスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂をめざす巡礼。日本では熊野三山への巡拝や伊勢参りがある。

人気を集めるのが四国八十八ヵ所巡礼(四国遍路)で、巡礼者数は年間10万人とも30万人ともいわれる。四国遍路がこんなにブームになったのは、比較的最近のことである。平安末期にすでに四国遍路が行われていたことは『今昔物語集』などで知られるが、永らく四国における珍しい民間信仰の地位にとどまっていた。




株式会社メモリアル飛鳥のホームページから拝借

これを宗教ツーリズムにまで高めた契機は昭和28(1953)年、伊予鉄観光社が催行した貸切バスによる四国遍路ツアーだそうだ。1960年代には盛んにバスツアーが行われ、宿坊を開業する札所寺院も現れてきた。

30年前の昭和63(1988)年には瀬戸大橋が開通する。「瀬戸大橋開通、JRの広報活動、まちづくりや地域活性化、遍路道へのまなざし。四国遍路をとりまくこのような状況の中で、(四国八十八ヶ所)霊場会は四国遍路の価値を再認識し、遅まきながらホストとして巡礼者を迎えるようになった」(森正人著『四国遍路』)。

そして1990年代には、四国遍路ブームが巻き起こる。バスなどを使った巡礼が普及する一方で「歩き遍路」が増えたのもこの頃だ。「自分探し」をしたい若者と「健康増進」を求める中高年者がブームを担った。菅直人元首相が歩き遍路を始めたのは、2004年のことだった。

しかし「四国遍路は空海が開創したという説は疑わしい。いつできたのかも分からないしそもそも仏教や真言宗の巡礼とはよびがたい」(同書)。もちろんお経にも出てこない。

初詣が今のように盛んに行われるのも明治中期以降で、鉄道の発展と関わりながら成立した。もとは「年籠(としごも)り」といって、家長が一族繁栄を祈願し、大晦日の夜から元日の朝にかけて氏神のお社にこもっていたものだ。

近年の御朱印ブームは衰える気配がないし、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一翼を担う聖地・高野山は、欧州各国から多くの参拝客を引きつけている。本県では、大和北部八十八ヶ所霊場巡拝が動き出している。社寺王国・奈良県としては、宗教ツーリズムの流れに乗り、今年も国内外からたくさんの参拝客をお迎えしたいものである。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


第23番薬王寺(2010.10.18)

お遍路さんを旅行(ツーリズム)に含めるのは誠に失礼なのだが、統計的にも経済効果の点からも、立派な「入込客」「宿泊客」なのである。文中でも触れたように、お盆の帰省や親族の法事もカウントすべきものだ。

奈良まほろばソムリエの会には「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」を歩いてきた会員がいて(今年で80歳)、「サンティアゴ・デ・コンポステーラは、巡礼道と宿泊施設がよく整備されている。高野山は情報発信力が優れている。どちらも宿泊者を大きく増加させた」と話していた。彼は「吉野山⇔高野山の道を、世界遺産に追加申請しよう」と提唱している。

奈良県は多くの神社仏閣がありながら、これを宿泊観光に結びつけていない点が残念だ。特に吉野郡には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録された多くの古刹や修験の道がある。「精神修養」「自分探し」「健康増進」などのキーワードで、多くの参拝者を引きつけてまいりたい。
※奈良新聞ご購読の案内は、こちら

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

後南朝を偲ぶ朝拝式(川上村・金剛寺)毎年2月5日に催行/毎日新聞「ディスカバー!奈良」第50回

2018年01月24日 | ディスカバー!奈良(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「ディスカバー!奈良」を連載している。早いもので、先週(1/18)で第50回を迎えた。
※トップ写真は、金剛寺で朝拝式に並ぶ人たち

栄えある50回目に掲載されたのは「後南朝(ごなんちょう)を偲ぶ朝拝式(ちょうはいしき)川上村の金剛寺」、執筆されたのは川上村在住の前田景子さん。前田さんは「ホテル杉の湯」に勤務され、村内で唯一の「奈良まほろばソムリエ」として、時には観光ガイドもされている。

ところで南北朝時代、一般の理解は《延元元=建武3年(1336)に後醍醐天皇が吉野に移ってから、後亀山天皇が京都にもどり南北朝が合体した元中9=明徳3年(1392)までの57年間、吉野の南朝(大覚寺統)と、足利氏の擁立する京都の北朝(持明院統)とが対立して争った時代。吉野朝時代》(デジタル大辞泉)といったところだろう。

私も高校時代、南北朝の合一を「1つさ国は(1392)」と語呂合わせで覚えたものである。なので、てっきりこの後はもめ事もなくスムーズに事が運んだと誤解していた。しかし、それは全く違っていたのである!キーワードは「後南朝」。では、記事全文を紹介する。


自天王の遺品

後南朝を偲ぶ朝拝式 川上村の金剛寺
応仁の乱からさかのぼること75年、足利幕府三代将軍義満のあっせんで南北朝講和が成立し、後亀山天皇は京都嵯峨の大覚寺に移ります。しかし、和睦の条件は守られず、南朝方が皇位に就くことはありませんでした。

後南朝の皇子は再び吉野に逃れ、奥吉野に身を潜め再起の機会をうかがいます。しかし、南北朝合一から65年後の大雪の夜、後南朝の自天王は赤松一族に襲われ、殺されてしまいます。

後南朝に忠節を尽くした川上村の子孫たちはその死を悼み、村の奥地、三之公(さんのこ)仮御所で行われた自天王の即位の大典をしのび、御遺品の鎧(よろい)、兜(かぶと)、太刀に礼拝し、元旦に宮中で行われる儀式「朝拝式」を、翌年より毎年欠かさず行ってきました。561回となる朝拝式は、2月5日に金剛寺で行われます。

メモ 金剛寺へは川上村役場から車で20分。道が狭いため、当日は川上村ふれあいセンター(川上村大字北和田312)からシャトルバスを運行。朝拝式は午前10時から行われます(奈良まほろばソムリエの会 前田景子)。


今も「三之公(さんのこ)」という地名や「三之公川」が残るが、これは南朝方の末裔の「3人の皇子さま」という意味なのである。今年の2月5日は月曜日。雪には十分ご注意の上、お参りいただきたい。前田さん、良い記事をありがとうございました!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白鳳は、さらりと深イイ中華料理店(大和西大寺駅南口)/おいしい大衆食堂(4)

2018年01月23日 | グルメガイド
※「北京料理 白鳳」は、ご店主・女将の高齢化により、惜しまれつつ閉店しました。

近鉄大和西大寺駅から徒歩4分程度のところ、近商ストアの向かい・南都銀行西大寺駅南口出張所のとなりに「西大寺第2ショッピングセンター」がある。その奥にあるのが「北京料理 白鳳」だ。ここには時々立ち寄っている。昭和レトロなあっさり味で、ボリュームもたっぷりである。奈良のグルメサイト「奈良グルメ図鑑」によると、
※トップ写真は中華ランチ(税込み750円)。ここにスープとライスがつく(1/20撮影)


ショッピングセンター奥のあまり目立たないところにある


口コミによると「定食などのセットメニューがおすすめ」とある

西大寺南口駅前、第2ショッピングセンター内にある庶民派中華料理店。大きく明るい窓際にテーブル席、厨房前にカウンター席があり、お昼時には近所の人たちでにぎわう。(中略)コスパは高い。味は全体的にあっさりめでボリュームはあるが食べやすい。


おお、これで750円(税込み)とは驚きだ、これに決めた!

唐揚げ弁当や炒飯弁当など弁当箱に入った定食類もある。麺や一品料理も多く、それらはおにぎり付や炒飯セットにもできる。テイクアウトもあり。

住  所 奈良市西大寺国見町1丁目2-9 
電話番号 0742-43-3249
営業時間 11:00~21:00
定 休 日 月曜日



中華ランチに焼き餃子(300円)をセット。餃子は「写真映え」を考えて追加した

中華ランチは、サンプルより中身がずっと充実している。またまた「tetsudaブログに載るお店は、ボリュームが多いなぁ」と言われそうだが、ここはボリュームではなく味で選んだ。昭和レトロ食堂がどんどん消えていくなかで、このお店は貴重な存在である。厨房では老夫婦が手際よく料理を作っている。孫のような若い女子店員さんのきびきびとした応対も、とても感じがいい。お店は近隣の住民や勤め人で、いつも賑わっている。


餃子はこんなに大きい。キャベツと挽肉がたっぷりだ


レトロな小皿が、いい感じを出している

帰り際、店員さんの1人に「マスター、70歳代後半ってとこですか?」と伺うと「はい、そうです。でも奥さんは80歳代ですよ」という答えが返ってきて、びっくり仰天した。重い中華鍋を使うのはご負担だろうし、大きなお皿も重いのに、こんなコストパフォーマンス抜群のお料理を提供しつづけてくださることには、頭が下がる思いだ。


ほのぼのと幸せな気持ちで、店をあとにした

マスター、奥さん、いつまでもお元気でお店を続けてください。皆さん、ぜひお訪ねください!
※食べログは、こちら
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白毫寺のえんまもうで/地獄の休日(1月16日)に催行!(毎日新聞「ディスカバー!奈良」第49回)

2018年01月22日 | ディスカバー!奈良(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「ディスカバー!奈良」を連載している。年明け第1弾は「休みの閻魔(えんま)に願う 奈良市の白毫寺(びゃくごうじ)」(1月11日付)、執筆されたのは楠田英雄さんである。

楠田さんは宇陀市のご出身・在住で、奈良近鉄タクシーのドライバーである。その機動力を活かし、いつも県下各地の興味深いお話を、ご自身のブログやFacebookにアップされている。では全文を紹介する。
※トップ写真は、閻魔王座像が安置される白毫寺の宝蔵


えんまもうでの案内板

休みの閻魔に願う 奈良市の白毫寺
奈良市の高円山のふもとにある白毫寺で、1月16日に「えんまもうで」が行われます。まるで閻魔(えんま)様から裁きを受けるような怖い感じがしますが、もちろんそんな怖い行事ではありません。

実は1月16日と7月16日は閻魔様のいる地獄が「休日」になる日で、この日ばかりは罪人を痛めつける獄卒も仕事を休み、釜もふたが開き、平穏な時間が流れるそうです。また、閻魔様は、日本においてはお地蔵さまと同一で、ありがたいお方でもあると信仰され、休暇中に無病息災と長寿を願うのが「えんまもうで」と呼ばれる行事なのです。

この日、白毫寺では宝蔵に安置される鎌倉時代の重要文化財「閻魔王坐像(ざぞう)」を前に祈とうが行われ、甘酒の振る舞いや福引もあり、境内はにぎわいます。

■メモ 市内循環バス「高畑町」下車徒歩約20分(奈良まほろばソムリエの会 楠田英雄)。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まほろばclub(南都銀行の現役&OBのおやじバンド)が1月27日(土)にライブ!(2018 Topic)

2018年01月21日 | お知らせ
まほろばclubという「おやじバンド」がある。南都銀行の現役行員とOBの計5人からなるバンドで、たくさんの賞も獲得している。私も当ブログで紹介させていただいたことがある。そのまほろばclubが、大阪でライブをする。バンドの公式HPによると、

♪ 三井アウトレットパーク 大阪鶴見 イベントライブ
◎日時:平成30年1月27日(土曜日)
    午後1時と3時の2回30分程度のライブを行います。
◎会場:.三井アウトレットパーク大阪鶴見ステージ
○入場は無料です。こちらのサイトでアクセスなどをご確認ください。



この写真は、京セラドーム大阪で2014.9.28に撮影

2月以降のイベントスケジュールもHPに載っていたので、紹介しておく。

♪ 第14回おやじバンドフェスティバル
◎日時:平成30年2月18日(日曜日)午後2時40分
    2曲演奏のコンテストに参加します。
◎会場:.HIT STUDIO TOKYO(東京都中央区日本橋3-2-17 B1F)
◎応募曲は“翼をください”と“燈花会 ひかりの恋物語”です。
○入場チケット料が3000円(ドリンク付)となっておりますが入場無料券を数枚用意していますので専用メール(fan-mailletter@freecats.jp)に“希望の旨、住所・お名前”をお知らせください。下記のサイトでアクセスなどをご確認ください。
○ご参考:「第14回おやじバンドフェスティバル」をご覧下さい。

♪ ニュータウンフェスタたかのはら2018
◎日時:平成30年3月10日(土曜日)
    午後4時15分(予定)から30分程度のライブを行います。
    (時間が変更されることがあります。3月以降に公式サイトでご確認ください。)
◎会場:.奈良市北部会館3階・市民文化ホール
○入場は無料です。下記のサイトでアクセスなどをご確認ください。
○ご参考:「奈良市北部会館」をご覧下さい。


昨日、当ブログでベストセラーの『定年後』を紹介した。そこには、現役時代から定年後に備えて助走(準備)しておくべき、と書かれていた。こんなに充実した活動をしているまほろばclubの5人は、きっと充実した「黄金の15年」(60~75歳)を過ごされることだろう。

皆さん、ぜひまほろばclubのライブに足をお運びください!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする