エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

春に感動したい  

2006-04-21 | 日々の生活
            《穀雨に濡れ、咲き始めた高田梅》

待ちに待った庭のウメがようやくほころび始めた。例年よりかなり遅い開花だ。ピンクの豊後高田梅が一足早く咲き始めた。毎年たわわに実を付ける白加賀は今年は少し遅い。冬から早春の気候(気温、日当たり)を因子に微妙に咲く時期が違っている。またソメイヨシノもつぼみが房状に紅く膨らんできた。木々の待ちかねた梢が遙か飯豊の残雪にとてもよく似合う。
 春の彩りはいよいよ濃く、黒い大地に水仙が美しく印象的だ。
                
 私の中の巡りきた春のイメージは、
 啄木の「やわらかに 柳青める北上の 岸辺目に見ゆ 泣けと如くに」のような、多少肌寒い爽やかな春に始まり、
 藤村の千曲川旅情の詩の一節「 ・・・白銀の 衾の岡辺 日に溶けて 淡雪流る ・・・」に 本当の春を感じ、
そして、達治の「甃のうえ」の「 あわれ花びら流れ をみなごに花びら流れ ・・・」の春に終わる。

 夕方、静かな庭で青春の思いをたどるべく玲瓏と歌う寮歌に、三十数年前の豊かな多感な青春がよみがえってくる。
 「春寂寥の洛陽に 昔をしのぶ旅人の 傷める心今日は我 
  小さき胸に抱きつつ この花陰にさすらえば 
  ああ我哀し行く春の 一片ごとに散る涙


巡りきたこの春は、まず会津の五桜を巡りたい。そしてこれらいくつかの桜に関わる詩歌の感動を肌で味わいたいと思っている。