エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

佇みし今日も墓前に父と母

2007-08-02 | 日々の生活

 我が家の、一族一統の盆の墓参りは、今日8/2である。いつの頃からなのだろうか。おそらく江戸時代から続いているのだろう。
 年に一度、普段はあまり往き来のない近くの親類だが、線香の煙る中、互いの健康を確認し近況を話し合う。一族の縁者が集まるお盆の墓参りだ。

 私が、他所にいた本家である父の名代でこの墓参りに参加したのは、私が若松に戻った頃からで、もう30年になる。お城の南にある墓地に、毎年8月2日の午後4時に参集することになっている。お寺さんを呼び、読経をあげてもらう。かろう塔の左右に並ぶ墓石を参列者が列を作って巡り、手を合わせる。
 今日の墓参りには、久しぶりに息子夫婦も結婚の挨拶を兼ねて参加した。数えたら総勢18人いた。長い年月同じことが繰り返されてきたが、不思議とこの日は雨に合うことはなかった。今日も梅雨明け初日、炎天下だったがお墓は高い木の林の中、涼しい風が吹いていた。

 年ごとの墓参り当番は、お寺さんとの連絡や供養料の集金、お供えや花や線香の準備をする。広い墓所の掃除が一番大変、墓参り前の日曜日に、なるべく協力して墓の掃除をする約束になっているが、最近はみんなが歳を取って大変になってきた。いつもは妻と二人で何回かに分けて掃除をしていたが、今年は体調も悪く、用事も重なって当番任せにしてしまった。
 
 私の父や母は「千の風になって あの大きな空を吹きわたって」はいない。彼岸や盆に限らず、近くを通った時には墓前に佇み近況を報告している。
 父が逝き19年、母が逝って4年になる。この歳になってときどき、父に母に会いたいと思うことがある。
    佇みし今日も墓前に父と母
    
8月は重厚な月に思える。先祖を思う。家を思う。戦争を考え、平和を思う。