エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

生かされてあることの不思議

2007-08-04 | 日々の生活
               【磐梯 黎明 :書斎の窓から】
  
 夜が白々と明け、朝靄に黒い磐梯山がぼんやりと浮かんでいた。
もう20数年、この部屋で寝起きしたことがなかった。昨晩、久しぶりにかつての自分の空間で休んだ。新築のころ、我が家の2階の北東の部屋が私の「男の隠れ家」だった。日々、磐梯山を眺めて生活した若い頃が浮かんできた。

 5時過ぎに、東の松長の山の端から日が昇った。まだ静かに眠っている街にツバメが舞っていた。スズメのさえずりが、新しい画用紙に筆を置くように聞こえてきた。なぜか、ひんやりした夏の朝から日中の暑さが予見できる。

静かに天井を眺め、壁の磐梯の布絵を眺めながら、あらためて生きていることの不思議を思った。有り難さが込み上げてきた。
あと何年、健康に気をつけ、日々を健やかに過ごせるだろうか。身体の心配しながらも一日一日を大切に生きることを誓う。腕を見つめ、こんなに盛り上がった血の管を見つめていると涙があふれた。そして生かされていることの不思議がありがたく思えた。

 嗚呼!、黎明の磐梯麗し。