エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

心中の賊

2007-08-10 | 日々の生活
 
 教育者であり書家でもあった母方の伯父から、自分で表装した何幅もの掛け軸をいただいた。ときどき取り替えて床の間に掛けてある。
 今掛けてあるのは「難破心中之賊」の書、掛けた時はよく分からなかったが、じっと眺めているうちに意味がつかめてきた。

 昨日、司馬遼太郎の長岡藩・河井継之助を書いた「風雲児」を読んでいたらこの言葉が出てきた。
 河井は、陽明学の行動主義に心酔していたようだ。そこには、「当時の官学であった朱子学が、自然・行動よりも知識偏重になっていたが、王陽明の儒教は、知ることと行うことは同じとしている。行動的なエネルギーを持った知識であらねばならず、その行動の主体である自分を作るのが学問であるとしていた。」とあった。
 そこに、王陽明の有名な句として、
 「山中の賊を破るはやすく、心中の賊を破るは難し」と書かれてあった。

 また、相田みつをの日めくりカレンダーには 「批判はしたけれど自分にできるだろううか」とある。同じことかと思った。
 
 自分の心の中のわがまま、弱さをいつも恥ずかしく思い生活しているような気がする。日々、この掛け軸の句を伯父の戒め、人生の戒めとして暮らしていきたいと思っている。

 伯父が逝って19年の歳月が経ってしまった。