透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

198 大正15年に建てられた火の見櫓

2011-10-02 | A 火の見櫓っておもしろい


198 塩尻市大門(塩尻駅の近く)の火の見櫓 111002
 
 櫓は上方に向かって直線的に絞り込まれている。櫓の部材はリベット接合されている。見張り台と比べて屋根が小さい。地味な姿を見て「どの形態も構造から生まれ、次第に芸術になった」という、以前建築関係の本で読んだ言葉を思い出した。避雷針には曲線状の飾り(頂華)がつけられている。

 



ブレースのリング式ターンバックルは肉厚で剛性が高そう。脚部は柱材相互を2本の横架材で繋いでいる。めずらしいデザイン。寄付をした人たちの名前を記したプレートが取り付けられている。 


 追記(160606):撤去されて今は無い。


九鬼周造の『「いき」の構造』を読む

2011-10-02 | A 読書日記



 先日書店で岩波書店の「九鬼周造全集」のパンフレットを目にしたのも何かの縁だと思い、『「いき」の構造』 講談社学術文庫を読んだ。

「いき」とは何か・・・。九鬼周造は深く思索し、周到に論考する。

**運命によって「諦め」を得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」である。人間の運命に対して曇らざる眼をもち、魂の自由に向かって悩ましい憧憬を懐く民族ならずしては媚態をして「いき」の様態を取らしむることはできない。「いき」の核心的意味は、その構造がわが民族存在の自己開示として把握されたときに、十全なる会得と理解とを得たのである。(160頁)**

広い意味での文化論。芸術論として読むこともできるし、人生論として読むこともできる。恋愛論として読むこともできるだろう。本書の内容を自分なりに咀嚼するには少し時間が必要だ。


メモ:岩波文庫