■ 歴史学者の会田雄次氏といえば『アーロン収容所』という著書(中公新書1962(昭和37)年初版)が有名だ。
2009年、中公新書通巻2000点を記念して出された『中公新書の森 2000点のヴィリジアン』で、最も印象に残っている中公新書、人に推薦したい中公新書などを挙げて下さいというアンケートで、この著書を最多15人が挙げている。大半の著書は1人しか挙げていないのに。ビルマのイギリス軍アーロン収容所で捕虜生活を体験した著者が「日本人としてのプライドを持って」と私は強調したいが、西洋、イギリスの実態を明らかにした名著だ。
会田氏の『日本人の意識構造 風土・歴史・社会』講談社現代新書(1972(昭和47)年初版)を再読した。
突然、熊に襲われたとき、日本人は子どもを抱き抱え、背中を熊に向けてうずくまる防御の姿勢をとる。この指摘は記憶にあったが、どこに書かれていたのか分からなかった。この本だった・・・。会田氏がアメリカで奥さんたちに頼んでどうするかやってもらうと、まず子どもを後ろにはねのけ、敵(熊)に直面し、両手をひろげて「仁王立ち」になったという(16頁)。日本人とはさかさまの姿勢だ。
日常の何気ない動作に意識下の民族的特質が表れる・・・。
**日本人の対外姿勢、つまり個人にすれば対社会的姿勢、国にすれば対外交的姿勢、企業にすれば他の企業あるいは外国企業と争ったり連携したりする姿勢、それが全部こういう形になっていることが分かるような気がする(20頁)。このような指摘を知るだけでも本書を読む意義がある、と私は思う。
この著書は今から40年も前のものだが、この傾向は今日でも、例えば外に対して閉じた都市住宅などにも表れている。
『日本人の論理構造』板坂元/講談社現代新書も日本文化論。次はこの本の再読。昔はこのような日本人論、日本文化論をよく読んだものだ・・・。