■ 私の住む鄙里では数年前から消防団員が火の見櫓に上って半鐘を叩く、ということがなくなりました。全国火災予防運動の期間中などの時は集会施設の脇に立っている防災無線柱のスピーカーから半鐘の音が流れてきます。各家庭に設置されている受信機からも同じ音が流れます。
地域の人びとの生命と財産を守る、というか地域そのものを守るために火の見櫓をつくり、管理してきた昔の人たちが、このような現状を知ったら、時の流れを感じ、時代の変化に驚き、切ない気持にもなるかもしれません。
少子化で若者が減ってしまったり、鄙里から離れて都会で暮らす傾向にあったり、仕事の都合であったり、消防団員になりたがらない若者が増えたりで、消防団では団員の確保に苦労していると聞きます。
また、火の見櫓にするするとスムーズに上ることができない団員がいたり(見るからに上りにくそうな火の見櫓もあります)、親がうちの息子にそんな危ないことはさせられない、などと苦情を言ったりすることもあるのだとか。
このように半鐘を叩かなくなった理由をいくつも挙げることができます。住宅の高気密化で半鐘の音が聞こえにくくなったことも理由のひとつだと聞いたこともあります。
私は半鐘を叩かなくなったことの根本に、「地域への帰属意識の希薄化」ということがあるのではないか、と思っています。実証することはできませんが。
その一方で一生懸命頑張っている消防団員がいることも事実です。このことを忘れてはいけないし、昔の人たちにも知って欲しい、そう思います。夜遅く、消防ポンプ操法大会やラッパ吹奏大会の練習をしている団員の姿を見かけることがあります。仕事で疲れているだろうに大変だなぁ、と思います。
熱心に活動している消防団員に感謝、感謝です。
恵那市の日本大正村にて 101031