462 常総市豊岡町の火の見櫓
■ 先日茨城県まで出かける機会があった同僚のY君とT君。車で移動中に出合った火の見櫓の写真を撮ってきてくれた。うれしい! ふたりには感謝、感謝。
火の見櫓の観察方法にきまりというか、ルールなど無い。既に書いたことを繰り返すが、興味の及ぶ範囲で観察したいように観察すればいい。私の場合、火の見櫓の構成要素を観察したくなるようだ。
構成要素に還元するという理系的(?)発想。
ここで、少し余談。人の顔でもやはりその構成要素まで見る。瞼が一重か二重か、それから眉の処理、他にも・・・。
仏像の顔の観察について書かれた本を読んでからは、テレビで大写しにされる女性タレントの顔の例えば目頭と目尻の高さ関係、上唇と下唇の厚さのバランスを見てしまうこともある(とスケベな中年ぶりを正直に書く、いや、これは古代から論じられてきている美学的問題)。ちなみに上下の唇の厚さの比は1対2が好ましい。この先はほろ酔いブログの話題だから、ここには書かない。
本題に戻ろう。この火の見櫓の基本情報、4角形の櫓に8角形の屋根、8角形の見張り台。これを4脚88の火の見櫓と省略表現する火の見ヤグラ―もいる。
屋根のてっぺんの避雷針や軒先に飾りが無くてすっきりしている。下り棟に沿って下地材があるが、その先端は軒先で止めてあり、くるりんちょな飾り、蕨手はない。
見張り台の手すりに曲線の飾りを施してある。機能的には不要なこの手の飾りは観て楽しい。火の見櫓の飾りは大半が屋根と手すりにある。
手すりの外側にまわしてある輪は何のためだろう・・・。消火ホースを掛ける腕木とモーターサイレンを設置する台は後付けだろうが、これらが無ければ美しい見張り台なのに残念。
鋼板を張った床にハッチが付けてある。このハッチを開けて見張り台に上がるのは怖いだろう。古い火の見櫓でこのように鋼板製の床を見ることがある。
櫓は等辺山形鋼(アングル)の柱と横架材、リング式ターンバックル付きの丸鋼ブレースから成る。火の見櫓は非常に鋼材量の少ない構造物だ。
踊り場までは櫓の外に、そこから上は櫓の中に梯子を設置してある。下の梯子はもっと上まで延ばしてあれば踊り場へ上り下りしやすいのに・・・。踊り場のアーチに注目。Uを少し開いて逆さにしたようなカーブがなかなかいい。
踊り場の床のすぐ上で櫓を接合していることが分かる。柱材の接合にそれぞれ8ヶのボルトを使用している。ここから上は鉄工所で一体に加工したのだろう(下に参考写真1を載せる)。
脚元のブレースにターンバックルが無いのはなぜか。
この部分は鉄工所で一体に造り、脚部にアングルの方杖(ブレースとみた方がいいかもしれない)も設置しているから、建てる時にほとんどゆがみが生じないと判断したからか。だが、下の参考写真2のように下のブレースだけリング式ターンバックルを用いた櫓もある。
建て方の際、櫓のゆがみがどこに発生し、それをどのように調整するのかということに関して事情や考え方が違うことに因るのであろう。
参考写真1 山形村小坂の火の見櫓を解体してトラックに積み込んだ時の様子
参考写真2 朝日村西洗馬の火の見櫓 櫓の1面は梯子兼用 防災無線用スピーカーが火の見櫓の印象を全く変えてしまっている。