『食と建築土木』後藤 治、二村 悟、写真小野吉彦/LIXL出版
■ 農業・漁業従事者が手づくりしている「食」の簡易な生産用構築物のレポート。
表紙に載っているのは丸干し大根の大根櫓。宮崎市田野町では冬場に孟宗竹で三角形の大規模な仮設櫓を組んで、漬物用の大根を丸干にしているそうだ。桁行(櫓の長さ)50~200mほどあるという。この季節限定の繰り返しの美学な構築物はなかなか美しい。
他には干し柿をつくるための柿屋、ウド栽培のためのワラ葺き小屋など20数例がカラー写真と共に紹介されている。
「食」を天日干しにするためであったり、風を通すためであったりする構築物は力学的にも施工的にも理に適うものに次第になっていったもので、建築の「祖形」とも見ることができる。なかなかおもしろい切り口の本だ。
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