■ 『空海』高村 薫/新潮社の再読を始めた(過去ログ1)。この数年空海について書かれた本を何冊か読んだが(過去ログ2)、高村 薫のこの『空海』が、読みやすいというか、おもしろい。
**一九九五年一月、私は大阪の自宅で阪神淡路大震災に遭遇した。それを機に、私の四十二年の人生は文字通り根底から変わった。いかなる信心にも無縁だった人間が突然、仏を想ったのである。**(8頁) 高村 薫は本書の「初めに(本書の表記通り)」でこのように書いている。このことが直接的かどうかはわからないが、きっかけになったに違いない。
空海本を読むことで、空海の思想・哲学を理解しようなどとは思わないが、強運の生涯を記憶に留めたいとは思う。