『空が青いから白をえらんだのです』寮 美千子編/新潮文庫
■ 前稿に書いたようにラジオ深夜便の「明日へのことば」で奈良少年刑務所の詩の教室の様子や受講生が書いた詩が紹介された。受講生が書いた詩を寮 美千子さんが選んで本にまとめたことを知り、早速夕方丸善に出かけて買い求めた。運よく1冊だけあった。
本のタイトルになった「くも」という作品が最初に載っている。
空が青いから白をえらんだのです たったこれだけの詩だけれど、少年の母に対する思慕の情が伝わってきて涙してしまう。
「ぼくは、おかあさんを知りません。でも、この詩を読んで、空を見たら、ぼくもおかあさんに会えるような気がしました」(15頁) 今朝のラジオ番組で紹介された教室の仲間の語った言葉がこの本にも載っている。この感想を言った子はそのままおいおいと泣きだしたそうだ。
すきな色
ぼくのすきな色は
青色です
つぎにすきな色は
赤色です
この詩(18頁)もラジオ番組で紹介された。この詩について仲間が語った感想も印象的だった。
「ぼくは、Bくんの好きな色を、一つだけじゃなくて二つ聞けてよかったです」(19頁)こんなにも優しく思いやりのある感想を言う子がいったいどんな罪を犯したというのだろう・・・。