透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「鳥!驚異の知能」

2018-03-26 | A 読書日記

 『鳥!驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する』ジェニファー・アッカーマン/講談社ブルーバックスを読み終えた。サブタイトルの「道具をつくり、こころを読み、確率を理解する」などということを本当に鳥ができるのか・・・。

世界中の多くの研究者(日本の研究者も含まれている)が行ってきた鳥の能力に関する実験的研究をいくつも紹介して、鳥がいかに優れた能力の持ち主であるかを説いている。これだけの研究成果を集め、鳥の能力を縦横に論じるのは大変な労力を要しただろう。

「第6章 鳥は芸術家」の「印象派とキュビズムの絵を見分ける鳥」には次のような渡辺茂慶大教授の研究が紹介されている。**ピカソの10作品とモネの10作品を使って、正しい絵をつついたら褒美を与えてハトを訓練した。その後、訓練で見せたことのないピカソとモネの新しい絵と、同じ画風の持つが異なる画家の絵とで鳥の弁別能力を調べた。ハトはピカソやモネの新しい絵を選んだばかりでなく、ほかの印象派の画家(たとえばルノワール)の絵をほかのキュビズムの画家(たとえばブラック)の絵と見分けた。**(283頁)

このような実験的研究事例がいくつも紹介されているが、どれも実に興味深い。この本のカバー裏面には**はたして、人間は鳥より賢いと言えるだろうか?**という問いかけがある。

 約400頁の分厚い新書(定価1300円+税)だが、休日2日間で読み終えた。