透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

学生設計競技公開最終審査

2018-12-09 | A あれこれ

■ 昨日(8日)、第20回シェルターインターナショナル学生設計競技「みんなの家」って何だろう  の公開最終審査とその後の伊東豊雄さんの講演会に参加した。

会場は港区芝(最寄り駅は田町)にある建築会館。審査委員は伊東豊雄(委員長)、トム・ヘネガン(昔、磯崎 新が審査員を務めた、雑誌「新建築」主催の住宅設計競技「わがスーパースターたちのいえ」で最優秀に選ばれた)、古谷誠章、大西麻貴、百田有希、以上の5人(敬称略)。

最終審査に残ったのは日本の大学院生による2案と海外の大学生(大学院生か? 出身国:シンガポール、オーストラリア、中国)による3案の計5案。

海外の学生のプレゼンは英語で行われたが、残念ながら同時通訳は無かった。国際コンペであれば建築のことが分かっている通訳者に同時通訳をして欲しいところ。海外からの応募者は審査員の日本語による講評がきちんと理解できなかったのでは。

プレゼン時間はたったの3分。いままで何回か公開審査を傍聴しているが(過去ログ)、これほど短い時間のプレゼンは初めてだ。何か狙いがあったのだろうか。質疑応答はそれぞれ20分くらいだったか。制限時間をかなりオーバーしたプレゼンもあり、公平性を欠いていたように思う。

英語のプレゼンはスクリーンに写し出される映像と時々聞き取れるテクニカル単語で、おぼろげながら提案内容の輪郭が分かった程度。情けない。なかなか興味深い提案もあった。



審査員で評価が分かれ、最優秀案(1位)、優秀案(2位)は委員長・伊東さんの提案で会場の聴衆の挙手で決めるというレアな展開に。結果、「途中の家 Road scape」という提案――中国に実在する、円環状の道路沿いに点在する集落内の空き家を改修して、それぞれに用途の異なる機能を持たせ、それらをネットワークするという提案(私の理解では)が最優秀に選ばれた。会場の聴衆の判断も僅差だった。

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公開審査の後に行われた伊東さんの講演では東日本大震災後や熊本地震後に計画された「みんなの家」や瀬戸内海に浮かぶ大三島での活動の様子、ぎふメディアコスモス(過去ログ)などの近作が紹介され、「人は自然の部分である 建築も自然の部分である」という、伊東さんの建築観が示された。

講演後、会場の学生からの質問「今までで一番うれしかったこと、一番後悔していることは何か」に、伊東さんはどちらも建築家になったことだと冗談で答えた後、うれしかったことは「せんだいメディアテーク」(過去ログ)ができたこと、後悔している(残念だった)ことは「新国立競技場」(過去ログ)のコンペに負けたことだと答えていた。

このようなコメントは講演会でしか知ることができないかもしれない。これからも出来るだけ参加したい、と思う。


 


「新東京風景論」

2018-12-09 | A 読書日記



 昨日(8日)日帰りで東京した。「インターナショナル学生設計競技2018」の公開審査は午後1時から。今回も松本発6時51分のあずさで新宿へ。午前中は東京駅前の丸善で買い求めた『新東京風景論』三浦 展/NHKブックス を同店内のカフェで読んで過ごした。この本は帰りのあずさで読了した。

以下、備忘録というか、このような本を読んだという単なる記録。

・東京の昔と今の風景写真、航空写真などを対比させながら、その変貌ぶりを示している。昔は良かったなあ、という著者の回顧。
・東京の風景について、最新技術を信頼する「アトム的」な未来志向と自然への畏敬に基づく「ジブリ的」自然志向という対比的な捉え方の提示。
・ジブリ的な風景の中にアトム的な国立競技場は相応しくないという主張は明快。
・上記の見方に「パンク的」という見方を加えているが、この「パンク的」の概念というか、意味がよく分からない。
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・個人名を挙げて批判しているが、それをそのまま書籍化してしまうのはどうなのかなあ・・・。