透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

116枚目 布絵を創作する坂井真智子さん

2019-09-08 | C 名刺 今日の1枚

116 

 池田町のカフェ 風のいろで開催中の坂井真智子 布絵展「裂から紡ぐ―キレからツムグ―」(会期:9月7日~10月8日)を鑑賞してきた。


坂井さんと名刺交換をして、作品などについてお話を伺った。坂井さんは20年くらい前から端切れの布を使って田園風景や山の風景を創作している方。坂井さん独自の技法によって、布が風景と化す。新潟県の田園風景を表現した①の作品、遠景の山並みと麓の集落がリアルに見えるから不思議だ。テクニックだけを身につけただけではここまでの表現はできないだろう。見慣れた風景に美を感じる美的感性が豊かでないと。





②は一目で爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳だと分かる作品。実にリアルに両座の山容が表現されているので驚いた。坂井さんは山小屋で仕事をしたこともある山好きな女性と知り、リアルな山容表現に納得した。漫然と山を見ているだけではここまでの表現はできないだろう。

全く既視感のないオリジナルな作品たちに魅せられた。会期中に出来ればもう一度出かけたい。


坂井さんから作品撮影およびブログ掲載を了承していただいています。


ブックレビュー 1908

2019-09-08 | A ブックレビュー



 8月の読了本は8冊。『日本の思想』丸山真男、『科学入門』武谷三男、『日本の景観』樋口忠彦 この3冊は再読。

『星を継ぐもの』ジェイムス・P・ホーガン/創元SF文庫と『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック/ハヤカワ文庫は共に版を重ねているロングセラー。ようやく読むことができた。本はじっと待っていてくれる、何年も何年も。

『日本軍兵士 ―アジア・太平洋戦争の現実』吉田 裕/中公新書 310万人もの日本人犠牲者を出した先の大戦。餓死、海没死、自死。日本兵たちが戦場で強いられたあまりに悲惨な現実。

『舟を編む』三浦しをん/光文社文庫 本屋大賞受賞受賞作 新しい辞書「大渡海」の完成までのものがたり。

**「先生に『大渡海』をお見せすることがかなわず、本当に申し訳ありません。馬締は頭を下げた。奥さんは「まあ、そんな」と首を振る。
「松本は喜んでいると思います。私もうれしい。あのひとのすべてが詰まった『大渡海』を、こうして形にしていただいたのですから」**(320頁)

『大渡海』の完成祝賀パーティー会場で馬締は出版間近に亡くなった監修者・松本先生の奥さんと交わす。奥さんの言葉が印象に残った。 


9月に出合うのはどんな本だろう・・・。