透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「慈雨」を読む

2019-09-16 | A 読書日記



 『慈雨』柚月裕子/集英社文庫。3連休最後の日(16日)の朝、松本市内の書店でこの文庫を手にした。平積みされていなかったら手にすることは無かったと思う。この作家のことは全く知らないし、集英社文庫を読むこともあまりないから。不思議なことに本に声をかけられたと感じるようなことが時々ある。この本もそうだった。

カバーの裏面にこの小説の紹介文があり、冒頭に**警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。**とある。四国遍路には憧れる。八十八か所すべての寺院を歩いて回ることができたらいいなと思っているので、続きを読んだ。

**旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。**

ミステリーは好きだ。僕の読書好きは中学生の時に読んだ松本清張の推理小説『砂の器』がきっかけだった。迷うことなく『慈雨』を買い求めた。

カバーの折り返しには作者・柚月裕子さんのプロフィールが写真と共に載っている。受賞歴がすごい。2008年に『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞受賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞受賞。

早速読み始める。この作家の作品とは相性が良さそうだ。


 


「ガニメデの優しい巨人」

2019-09-16 | A 読書日記


 本離れが進み大学生の2人に1人は月に1冊も本を読まないという時世に「読書の秋」という言葉が有効なのかどうか。もっとも私は読書は秋に限らず通年の生活の一部を成すべきことだと思ってもいるが。

J・P・ホーガンという英国作家の『星を継ぐもの』創元SF文庫の続編、320ページ細かな活字がびっしりの『ガニメデの優しい巨人』を読み終えた。

人類は地球ではなく、ミネルバという火星と木星の間にあった惑星で進化した・・・。このミネルバを破壊した生き残りが地球に来て今の人類の祖先となった・・・。これよりはるか昔、ミネルバにはガニメアンという巨人(知的生命体)がいた・・・。

宇宙から木星探査船に向かって急接近してきた謎の宇宙船。その宇宙船からくり出され、探査船とドッキングした飛行体の中から姿を現したのは2500万年前のガニメアンたちだった・・・。

やがて彼らは木星探査隊と共に地球を訪問、そして再び宇宙へ・・・。

奇想天外な発想がリアルな科学的知見によって壮大なストーリーに仕立て上げられている。登場人物の原子物理学者や生物学者らが交わす専門的な会話。そう、これはまさにサイエンス・フィクション! 

ストーリーはさらに『巨人たちの星』、『内なる宇宙』へと続く。


 スマホで短文読むのもいいけど、紙の本で長編読むのはもっといい、とおじさんは思うのだ。