透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

桜と火の見櫓 辰野町横川にて

2021-04-10 | A 火の見櫓っておもしろい


(再 181)辰野町横川川島小学校 撮影日2021.04.10


(再 180)


(再 179、214 ダブルカウント)

 上伊那郡辰野町の横川地区は横川川沿いに集落が連なっている。山あいの川は自然の冷却装置。だから川沿いの地域の気温は少し低い。このために桜の開花も遅いのだろう。今日(10日)出かけてみるとちょうど見ごろだった。今年の桜と火の見櫓のある風景はこれで見納め。


 


「ルポ 保育格差」

2021-04-10 | A 読書日記

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 『ルポ 保育格差』小林美希(岩波新書2018年)を読んだ。

「三つ子の魂百まで」ということばがあるけれど、小さな子どもたちが家庭から離れて最初に過ごす社会である保育所が子どもたちの人生を決するといえば大袈裟かもしれないが、大きな影響を与えることは間違いないだろう。

『ルポ 保育格差』は保育所の間に生じている格差に関するレポート。保育所によってこんなにも違いがあるのか、とこのレポートを読んで驚いた。

保育士による子どもたちへの「虐待」、改善されない保育士の処遇、待機児童の問題、学童保育の問題、好ましい保育を目指して日々実践している保育所の紹介、保育格差解消のために必要なこととは、以上のことが章ごとに取り上げられている。

**給食の時間、行儀よく食べられないからと、一歳の子どもたちがベルトで椅子に括り付けられ、動けないようにされていた。行政から監査が入るという前日、保育士たちが「ベルトは隠さなきゃ」と慌てていた。**(5頁) 信じられない、本当にこんなことが行われているところがあるのだろうか。

**他の担任に話しかけ「ホント、あの子ムカつく。合わない。私、あの子、無理だから!」と担任を外れたがる。**(12頁)他にも驚きの実態が紹介されているが、気が滅入ってしまうので、ここに挙げるのは控えたい。

著者が東京都に情報公開請求して入手した財務諸表によって明らかになった保育士の人件費率。これが国の想定から程遠い実態であることが保育所の実名を挙げて示されている。保育に充分お金が回っていないのだ。

第5章 安心して預けられる保育所とは? に紹介されている保育園の様子を読んでようやく気持ちがほっとした。

**一人ひとりに寄り添う。どこの保育所でも掲げられる理念ではあるが、実践は難しい。取材するなかで、子どもが豊かに過ごすことを実践する保育所に出会った。共通するのは一斉保育をせず、その子がしたいという遊びを保障すること。** 第5章のリード文(162頁)

**保育の質と保育所の財務内容は車の両輪だ。きちんと委託費を人件費に使っていない保育所が継続的に良い保育を続けられるわけがない。この問題を座視してはならない。**(238頁)あとがきに記されたこの一文が保育格差問題の核心を突く。

保育所の実態には天国と地獄ほどの差があるようだ。読み終えてもブラック保育所の存在が信じられないので最後を「ようだ」と結んだ。