透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「シン・ゴジラ」再び

2023-12-24 | E 週末には映画を観よう

 11月に「ゴジラ-1.0」をシネコンで観たが、前作の「シン・ゴジラ」と比べてみようと思って再度DVDで観た。シネコンで「シン・ゴジラ」を観た時はどんなことをブログに書いているだろう・・・。

以下、過去ログ(2016.08.28)からの引用。

**東日本大震災、福島第一原発事故が東京で起こったら・・・。「シン・ゴジラ」は東京大災害シミュレーション映画。その時、政府は対処できる? 自衛隊はどうする? アメリカの対応は?**

**この映画でゴジラは徹底的に災厄の象徴として描かれている。そう、大震災や原発事故のメタファーとして。ゴジラには同情する余地が全くない。ゴジラは核をつくり出した人間の罪の結果として生まれてきた、ある意味かわいそうな存在でもあるのに。** 

なるほど、こう見たか・・・。

今回の感想。

まるで進化するかのように姿を変える(変態ということではないらしい)ゴジラが最初に東京の蒲田に上陸した時の長い尾を振りながら這うように進む姿、まあそれはなんとか良しとしても眼がダメだった。全くまばたきしないまん丸の眼はなんだかちゃっちいおもちゃのようでリアリティなし。体はなかなか好いのに・・・。ゴジラが鎌倉の稲村ケ崎に現れた時は二足歩行、見慣れた姿になっていた。でもやはり眼が動かず、表情がない。

自衛隊が出動して超巨大害獣・ゴジラを駆逐するためにいろんな兵器を繰り出す。その都度、それらの名称が大きく表示される。それもなんだかなぁ。軍事マニア向け映画のようで。

血液凝固剤を投与されて東京駅でフリーズしたゴジラ。**「事態の収束にはまだ程遠いからな」** この台詞、やはりゴジラって福島第一原発?

「ゴジラ-1.0」の方が好きだな。


他にもDVDで映画を観ているのでここでリストアップしておく。

・「点と線」松本清張の代表作の映画化 
・「アンドロメダ」原作マイクル・クライトン
・「あなたへ」高倉 健の遺作 故郷の海に散骨して欲しいという妻(田中裕子)の手紙。ロードムービー ビートたけし、草彅 剛。
・「AALT] フィンランドの建築家の人生
・「カジノロワイヤル」007シリーズに何人のボンドガールが登場しているのか知らないが、仮に1作品に1人としても24人となる。ボンドガールの中ではこの「カジノ・ロワイヤル」のヴェスパー(エヴァ・グリーン)が一番好きだ。他の作品は知らないが、この作品のエヴァ・グリーンは知的美人、どことなく陰があり、時々見せる寂しげな表情が好い。


岡谷蚕糸博物館

2023-12-24 | B 繰り返しの美学
 製糸業を抜きには語ることができない長野県岡谷市の歴史。




その岡谷にある岡谷蚕糸博物館で昨日(23日)の午後に開催された齊藤有里加さん(*1)の講演「150年の眠りから目覚める・・・! 勧工寮葵町製糸場図面 3D復元プロジェクト報告」を聴いた。

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このプロジェクトは東京農工大学の博物館収蔵庫から2017年に見つかった勧工寮葵町製糸場の諸図面(繰糸部の機構、水車、竈、煙道など)41点を読み解いて3D化するというもので2019年から20年にかけて行われた。

葵町製糸場は現在の東京都港区虎ノ門(虎の門病院が立っている場所)に建設され、1873年(明治6年)に開業した。その前年、1872年に富岡製糸場が開業している。共に官営の製糸場。明治初期とはいえ、東京のど真ん中に製糸場があったことは知らなかった。

博物館で2024年2月18までの会期で企画展が開催されていて、展示室にはこのプロジェクトの成果である葵町製糸場の3D画像と1/100の模型、それから大学博物館収蔵庫で見つかった絵図(図面)などが展示されている。私が興味を持ったのは製糸場の模型で、見つかった図面の中に製糸場の平面図と立断面図があり、その図面に基づいて作られた。

建物は木造、小屋組みは1間(約1.8m)ピッチ(スパンは5間、約9mだと思われる)で同形のフレームが並んでいて美しい。これぞ繰り返しの美学。





ここで繰り返しの美学の復習。

建築の構成要素そのもののデザインには特にこれといった特徴が無くても、それを直線的に、そして等間隔にいくつも配置すると、「あ、美しいな」とか、「整っていて気持ちがいいな」とか、そういった感情を抱く。このような経験は私だけの個人的なものではないだろう。シンプルなルールによって、ものが秩序づけられた状態・様子を脳が歓迎しているのだ。

建築構成要素を直線状に等間隔に並べるとそこに秩序が生まれ、それを美しいと感じる。これを私は「繰り返しの美学」と称している。

製糸業が盛んだった岡谷にあるこの博物館には繰糸機が何基も展示されていて、その進化をみることができ、なかなか興味深い。博物館には宮坂製糸所が併設されていて、実際に繰糸の様子を見ることができる。




機械化されてもすることは手作業と変わらない。



博物館のアプローチ沿いの繰り返しの美学な仕掛け。かつてこの場所にあった農林省蚕糸試験場岡谷製糸所ののこごり屋根をモチーフにデザインされた。


岡谷蚕糸博物館には今回初めていった。機会があれば再訪したい。

*1 東京農工大学科学博物館 特任准教授