■ マグカップを真正面から見ているだけでは取っ手があることに気がつかない。上から見ないとカップの平面形が真円であることが分からない。「もの」の形を把握するためにはいくつかの方向から見なければならない。
前から見ると四角形、横から見ると三角形、上から見ると円形に見える。このような立体があるとすればどんな形か。随分昔にベストセラーになった多湖 輝の『頭の体操』(第1集の刊行は1966年)というクイズ本にこのような問題が載っていたことを覚えている。
答えはコーヒードリッパーに似ていて、下の写真のような形から取っ手や底のつば(? 名称が分からない)を取り去った幾何学的な立体。大根を切って答えの形をくってみてくださ~い。
このように形が定まっている「もの」でさえ、形をちゃんと理解するためにはあちこちから見ないとダメ。ましてや形のない「こと」については尚更だ。十分な情報開示や説明がなければ状況が把握できない。新聞に時々「十分な情報開示や説明を」といった見出しの記事が載る。
2024.10.23付信濃毎日新聞に掲載された記事の見出し
中途半端だが、この辺りで本稿を終りにする。