透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

アート書評だってさ

2024-11-22 | D 新聞を読んで


 11月6日付朝日新聞朝刊の書評面に掲載された美術家・横尾忠則さんの書評はアメリカの物理学・光科学研究者のグレゴリー・J・グバーの『透明マントのつくり方』(文藝春秋)を取り上げていたが、文章の一部が読めないものだった(写真)。

文章を情報伝達媒体としている(写真や図も使われるが)新聞に、このような書評が掲載されたことに違和感を覚えた。いや全文読めず、内容が分からないのは書評とは言えない、と私は思う。

次の面にQRコードが載っていて、**今回の横尾さんの書評は、朝日新聞デジタルで全文を無料でお読みいただけます。**とあるが、これは逆ではないだろうか。「アート書評」なるものをQRコードで読めるようにして、書評面では全文読めるようにすべきだ。そうでなければ、掲載面が違うと言いたい。朝日新聞にアートに関することを掲載する面があるなら、このアート書評はそこに掲載すべきだ。

読書編集長の弁明文が掲載されている。**「アート書評」は、書評とは文章で書かれるものだという固定観念のようなものを揺さぶる試みだと、私たちは考えています。** 書評を文章で書かずして、空白でもよいというのだろうか・・・。

**横尾さんの型破りな書評から多様な議論が生まれ、**って一体どんな議論が期待できるというのだろうか。きちんと情報提供しない紙面なんて、新聞なんて・・・。

フルコースのフランス料理をオーダーした客にオードブル・スープ・魚料理が順に出されて、次にサラダ・果物・コーヒーが順に出されたとする。肝心の肉料理が出されなかったことについて、シェフからフルコース料理の固定観念のようなもの(って何?)を揺さぶる試みなんです、と説明されて、なるほどと納得して文句を言わない客がいるのもだろうか・・・。